除夜の鐘
そもそも、除夜とは一年の最終日の夜を指し、大晦日・年越などという。年越とは、しみじみと往く年を惜しんで送り、新年に神佛を迎えてお祭りをする重要な区切りの日であります。

除夜の鐘は百八声撞くことが原則とされています。佛教では人間には
百八種の煩悩(欲望のわずらい)があり、成佛するには、これらの煩悩(ぼんのう)を除き無量の罪障を消滅しなければならないと説かれています。

では何故除夜に鐘を撞くのでしょうか?

お寺の鐘のことを梵鐘(ぼんしょう)と呼びます。特に大きな鐘は大梵鐘といい、その音は、広く・遠くまで響き渡るように作られております。梵鐘の「梵」は清浄をあらわします。
この鐘音を聞いて佛は随所に現れ、鐘音は佛音であり経音でもあります。

梵鐘の一番上の留め金の所を「龍頭」(りゅうず)といいますが、実際は「龍」ではなく、「蒲牢」(ほろう)という架空の獣を彫りつけます。

蒲牢は海岸に住む獣で鯨を非常に恐れる習慣があり、また、その時に発声する声をあらわしたのが梵鐘の音であるといわれています。そこで蒲牢の形を作り鐘の上部につけ、撞木(しゅもく)を鯨にかたどって鐘を撞けば必ず良く鳴るといいます。後に梵鐘の音を鯨音(げいおん)と呼ぶのはここから来たことです。

このように除夜の鐘は私たちが元旦より除夜に至る一年間の罪障を消滅し、煩悩を解脱して心身共に清浄となって新年を迎えたいという、
祈願をこめた鐘であります。

東福寺の大梵鐘は500貫の巨鐘であると同時に、阪神大震災の惨劇を伝承する為に、平成8年12月に再鋳造した鐘でもあります。

この鐘には次のように刻まれています。(抜粋)

   正面  南無釈迦牟尼佛

   裏面  為阪神大震災横死者諸精霊菩提

      平成七年一月十七日午前五時四十六分

     M七.二 直下型大地震阪神地方襲冒

     死 者   六千三百八名

     負傷者   四万千五百二十七名

     焼失家屋  七千六百八棟

     焼失面積  六十五萬九千四百二平方米

     倒壊家屋  二十三萬六千六百十七棟

        悽惻阪神大震災惨禍

      駭 地 震 天 修 羅 巷(がいちしんてん しゅらのちまた)

      廊 間 堂 塔 盡 傾 僵(ろうかんどうとう ことごとくけいきょう)

      眼 前 惨 状 絶 言 語(がんぜんのさんじょう ごんごをぜっす)

      横 死 幾 千 空 断 腸(おうしいくせん むなしくだんちょう)

 この惨状を後世に伝承して行く大きな役目を持った鐘です。

 我々一人一人の一年間の罪障を消滅させると共に、大震災の惨状を伝え、又、亡くなられた方々への供養も込めて、
心より一声ずつ撞いていただきますようお願いいたします。
 
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