ライナーノーツ By N.OGINO
長年の夢が叶い、A-Teamのバックでアルバムを作ることができました。
A-Teamはナッシュビルのスタジオミュージシャンの中でも最高のプレイヤーの集合体
に与えられた名称です。
オリジナルメンバーはGrady Martin, Hank Garland (guitar), Bob Moore (bass),
Buddy Harman (drums), Harold Bradley (6 string bass guitar, guitar),
Ray
Edenton (rhythm guitar), Pig Robbins (piano), Charlie McCoy (harmonica)
で、
パッツィ・クライン、レイ・プライス、エディ・アーノルドからエルヴィスまで
50年代から70年代にかけて、
ほとんどのヒット曲の伴奏をしたと言っても過言で
はありません。
僕がカントリーを好きになったのは、マーティ・ロビンスのエル・パソのギターを聞
いたのがきっかけです。
以来たくさんのレコードを買いましたが、どれを見ても彼ら
の名前がクレジットされているのに気づき、一度会ってみたいとか、演奏している姿
を見てみたいと思うようになりました。
何度かナッシュビルに行ったのですが、スタ
ジオに籠もりっぱなしの彼らには会えません。
ところがインターネットを通じてボブ・ムーアさんと知り合い、昨年オープリーの楽
屋でお会いすることができました。ボブの奥さんはひょうきんな人で、しょっちゅう
E−メイルをくれるようになり、
一緒にレコーディングしたいとのお願いを引き受け
てもらえたというわけです。
最終的には日本通のチャーリーさんにリーダーになって
もらい、A-Teamで今でも演奏している方と
来日時に親しくなったジョーとウェルドン
に参加してもらい、病気のピッグに代わりロジャー・モリスのピアノで録音すること
になりました。
メンバー紹介
Charlie McCoy (leader, harmonica, guitar, vibraphone)
言わずと知れたハーモニカの名手。今回はメンバーへの連絡、スタジオ予約、エンジ
ニアからCD制作まで
すべての手配を請け負ってくれました。You Don't Know Meで
はヴィブラフォンを弾くなど、まさにマルチプレイヤー。
Bob Moore (bass)
素晴らしいドライブ感とコード感覚! ベースの定石はすべてこの人が創ったのでは
ないでしょうか。
ロイ・オービソンの”オー・プリティ・ウーマン”、ポール・サイモンの”明日に架
ける橋”から
フランク・シナトラに至るまで、1セッション3時間で生涯17,000セッ
ションということは7万曲以上レコーディングしたことになります。
Buddy Harman (drums)
オープリーの初代ドラマー。レイ・プライスの4−4シャッフルを始め、
現在のカン
トリーのビートは全部オレが創ったという名ドラマーももう70歳。
スタジオ内の階
段も上がりづらそうでしたが、ドラムセットの前に座ると、この通り!
エルヴィスの
数多い映画の挿入歌もこの人です。
別れ際にバディ・ハーマンモデルのドラムス
ティックをくださいました。
Harold Bradley (6 string bass guitar, guitar)
1926年生まれ。世界一レコーディングの数をこなしたギタリスト。
名プロデュー
サー オーウェン・ブラッドレーの弟。
ナッシュビル・ミュージシャン・アソシエー
ションの会長。日本でも発売されたアルバムGuitars For Lovers Onlyは名盤です。
今回はFaded Loveで美しいコード・ワークを披露してくれました。
またナッシュビル
・サウンドの特徴であるチック・タックベースは彼の専売特許です。
Joe Edwards (fiddle, rhythm guitar)
オープリー・スタッフ・バンドのフィドラーを40年! 来日時には神戸の我が家に
泊まってくれました。
チェットやマール・トラヴィスのフィンガー・スタイル・ギ
ターの第一人者です。
今回は僕が主役なので、リードギターは
ご遠慮いただきました。悪しからず。
Weldon Myrick (steel)
中学から高校生の頃、誰のレコードを買ってもスティールはウェルドンかハル・ラッ
グでした。
コニー・スミスの”ワンス・ア・デイ”をはじめとする一連のアルバムで
は、ギターのチッキン・ピッキンを思わせる超絶技巧で一世を風靡しました。
昨年は
奥さんのジュディと、僕たち家族をステーキハウスに招待してくれて感激しました。
心臓に持病があるので心配です。
Rodger Morris (piano)
ベンチャーズのノーキー・エドワーズと来日したことがあるそうです。
控えめながら
素晴らしいピアノを聞かせてくれました。
Eric Paul (engineer)
チャーリーさんがこの町一番のレコーディング・エンジニアといって紹介してくれま
した。
ずっとウイリー・ネルソンと仕事をしているそうです。
ちなみに翌週はエミ
ルー、ボブ・ディランの録音とのこと。
最後に、A-Teamのリーダーで僕の最大のヒーローであるグラディ・マーティンは
病床
にあり、もう二度とギターを弾くことはないでしょう。
グラディとずっと一緒にやっ
てきた仲間とプレイできて最高の喜びを感じます。
グラディみたいに弾けたら良かっ
たけれど、緊張して最後まで指は思い通りに動いてくれませんでした。
カントリーの黄金時代を、そしてナッシュビル・サウンドを築いた、A-Teamに心から
敬意を捧げます。
荻野 信彦
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