店長のひとりごと

このコーナーでは店長の身辺に起こった出来事をつれづれなるままに日記風に綴ってみました。

5月14日
 猫ひろしさんのロンドンオリンピック出場ならずというニュースが大きくとりあげられています。おおむねの意見は次のリオを目指してカンボジア代表となれるようがんばれといった好意的なものが多いように感じますが、今回の件が決着するまでは、意地の悪い週刊誌などで、やれ金で買っただの、記録だけを見ると他の選手が上だなどとかまびすしかったのがよみがえります。
 店長も今回の猫さんのコメントを支持したいと思っていますが、この問題の本質にはいささか疑問をもっています。どうやらことの発端は中東のオイルマネーで潤っている国がオリンピックでメダルを獲れる可能性のある有力選手を次々他国から引き抜いて自国代表として擁立した、その行為が目に余るというので、国籍取得の期限を設けた模様です。
 それだけ聞くとまあ確かに制限は設けるべきかとも思われますが、実際どうでしょうか。たとえばアメリカはかつて中南米の国の将来に見込みのある選手を「育成」と称して本人および家族への資金援助という「人道行為」によってアメリカに移住させ、米国代表として擁立してきました。今回のオリンピック開催国であるイギリスも旧宗主国の立場を利用しかつてもそして今回もメダル集めに躍起になっています。その「餌」はいわずもがなのことで、中東の国が行っていることとどれほどの差があるのか疑問です。翻ってわが日本はどうでしょうか、スケールは小さくなりますが、たとえば国体。数十年にわたり開催都道府県が総合優勝してきました。毎年開催地が変わるのにどうして開催地である年「だけ」優勝できるのでしょうか。さらに高校野球やその他スポーツも都道府県の代表となるために越境入学するのは公然の事実です。
 おおげさかもしれませんが、キリスト教国とイスラム教国との対立の構図と感じるのは店長だけでしょうか。がんばれ猫ひろし!
今週のワイン5/8〜5/14
ルイ・ジャド マコン・ヴィラージュ2010 ACマコン・ヴィラージュ フランス
 チーズに興味をもちだしたU氏、ワインと合わせてみようということで提供してくれたのはカマンベールのオリジン、カマンベール・デュ・ノルマンディーとシャブリで洗ったウォッシュチーズ、アフィデリス。店長の所持するチーズ関係の本には別にアフィネ・オ・シャブリというのが載っておりなんとなく名前から関係がありそうです。ワインはこのマコンで試すことに。カマンベールは安価な類似品より白カビの部分に厚みがあってやや固め、独特のコクがあり中のチーズはソフトな味わいできのこのような複雑な旨味に満ちています。ウォッシュに比べると口中でのたたずまいに一定の味わいを貫き、ワインと合わせるとこのワインの場合、よりワインのコクが増すようで、チーズのソフトな味より強く主張するようです。一方アフィデリスはまだそれほど熟成が進んでおらず包丁でムニュッとなりながら切れる状態。口当たりはマイルドでまだクリーミーさには欠けるようですが、あとから出てくる、おそらく皮の部分からであろうコクのある旨味が主張してきます。ただウォッシュタイプとしては熟成度合いもありますがソフトな部類のようで全体におだやかな印象。ワインとは両方のコクが邪魔しあわず、溶け合うという感じではないもののそれぞれがうまく協調するといった感じでした。いずれのチーズも単体ですばらしいことはいわずもがななのでマッチング重視の店長です。でワイン。
 ほんのりハチミツのある果実香。さらりと品のある口当たりのあとドンとコクが充満し、喉越しのあと柑橘の余韻が少し。よくまとめてきているところはさすがの造りだと思われますが、苦味のともなうコクの部分がやや強すぎるかなというスタイル。先日のACブルゴーニュと比べると、ややぼってりとした印象になるのはヴィンテージと産地の違いからやむをえないところか。それでも品を感じさせる香り、口当たりにブルゴーニュのシャルドネということをきっちり主張しているところは匠の技か。ごちそうさまでした。

ドメーヌ・ジェラール・セガン ジュブレ・シャンベルタン・1erクリュ・レ・クレピヨ2009 ACジュブレ・シャンベルタン・1erクリュ フランス
 ものの本によると村のやや北寄りにあってクロ・サン・ジャックやラヴォー・サン・ジャックといった北部のプルミエ群と、クロ・ド・ベーズを始めとした南部の綺羅星のグランクリュ群を分けるラヴォー背斜谷の村へ切れ込んで広がる扇状地開口部にこのクレピヨの畑はあり、そのために他のプルミエより軽い味わいになると評しています。
 赤い果実、少しアセロラの軽やかないい香り。プルミエクラスとしてまたこの年のワインとして酒質はそれほど強くはないものの、軽やかでほどほどにピュア感がありキュート。梅チェリーにアセロラのジューシーな味わいはタンニンをほとんど意識することなく嚥下される。ときに雑誌などで目にする羽毛のようなテクスチャーとはこういうワインを指すのだろうかと思う。全体に「明るい」ワインで、このクラスまたこのヴィンテージらしくないスタイルだとは思うが店長の高感度は大なるものがあります。あまりに畑の解説本のとおりで思わずこれがテロワールかとひとりごちた店長でした。

ステファン・ヴィンセント ピノ・ノワール2010 カリフォルニア アメリカ
 お手ごろな価格で、それなりに楽しめるピノ・ノワールを探すというのはなかなか骨の折れる仕事です。倍近く出してまず間違いのないであろう銘柄を選ぶのか、もしかしたら掘り出しものの一本を探し当てられるかもしれないといって半値近い価格のものにするのか、今回は後者で。
 濃くてよく香りそうな色調なのですがおとなしく、奥からイチゴキャンディのような香りが少し。味は少しジャムやキャンディの過熟感のあるドライな果実味。およそブルゴーニュのピノとは別物の味わいで、では新世界的な明るく果実味の載ったピノかというとそうでもない、いろいろな要素がぎゅっと縮こまった状態でさすがにまだ早いか。解けてくるともう少し目鼻立ちがはっきりしてくると思われるが、そうかといって将来にそれなりの期待ができそうかと問われればなかなかそうとも言いがたいところか。やはり価格のとおり、むかーしよく漁っていた新世界の安いピノと、カレラなどいわゆる一流どころのレギュラークラスとの中間的な位置づけというところだと思われます。
今週のワイン5/1〜5/7
ドメーヌ・ベルトラン・アンブロワーズ ニュイ・サン・ジョルジュ・1erクリュ・アン・リュ・ド・ショー2002 ACニュイ・サン・ジョルジュ・1erクリュ フランス
 最近出版されたブルゴーニュのガイド本を入手してご満悦の店長、今回のリュドショーはどの辺かなと調べてみると、ニュイの中心部から南につらなるプルミエ地帯のもっとも街寄りの端にあるようです。ニュイの造り手として飲んでみたかった一人。U氏とともに。
 固いコアを感じさせる紫の果実香がグラスの外まであふれ出します。少し口に含んで味を利いたあとの余韻の強さと長さにびっくりします。黒っぽい土と紫の果実が溶け込んだ重量感のある味わい。漢方などの妖しさにつながる要素を感じないのは、これから出てくるのか、これ以上の熟成によっても出ないスタイルの造り手なのか興味のあるところ。全体に骨格を感じる味わいで、落ちついて強く深く濃い。10年近くを経ていまだ熟成途上の要素を感じます。腰を据えて飲む場面で重宝しそう。牛肉にすき焼き風のたれを絡めた一皿と合わせると、紫の果実がよりボリュームをもって口中で広がるのを感じ、思いがけずいいマッチングを発見。他のスタイルのワインともどの程度マッチするか調べてみようとおもう店長です。で、同席のU氏、このワインにどうもいまひとつピンと来なかった模様。すこし前に飲んだロワールの天才、ティエリー・ピュズラのワインにいたく感銘をうけた様子で、早くも自然派薄旨ワインに方向転換か。いつもありがとう。

ルイ・ジャド ブルゴーニュ・シャルドネ・ソンジュ・ド・バッカス2009 ACブルゴーニュ フランス
 おなじみのバッカスが睨み?を効かせるラベルではあるのですが、少し枠が小さくなって枠の外に二つサインが入っている特別バージョンです。裏には創業150年のルイ・ジャド社が誇る名匠ジャック・ラルディエールと社長のピエール・アンリ・ガジェがサインを入れた自信作で、日本限定品ということが書かれています。
 いきなり品のあるいい香り。黄色い果実、ちょっぴり柑橘、時間と共にカスタード。トーンが高めのキュッと切れ上がるような黄色い果実はすでにまろやかさを出しており軽やかながらも品のある存在感を持つ。愛読誌でベタ褒めしていたが、その気持ちがよーくわかる、スケール的にはクラス相応かもしれないが、その品のよいバランス感覚は裏ラベルに記載のとおりスーパーブルゴーニュと呼ぶに相応しい出来。このクラスで言うのもなんですが、社長と醸造責任者のサインが入っていることが頷ける入魂の作。

ドメーヌ・カシャ・オキダン ブルゴーニュ2010 ACブルゴーニュ フランス
 いよいよ店頭にも10年のブルゴーニュがちらちら現れだしました。毎年新しいヴィンテージが並んでくるとあらためて月日の流れの速さを認識させられます。09年ほどではないにせよ、まずまずの年ではないかという前評判に、まずはレジョナルクラスで様子伺いです。09ではよくお世話になったこの造り手から。
 ややおとなしめの香りかなと思っているとチェリーの赤果実がピュアに香り、その後井草やこんぶ、そして梅、やがて紅茶とめまぐるしく変化します。味は酸が要所を押さえたとてもチャーミングな赤果実で、目の詰まりはないもののじんわりほっこり癒し系の店長個人的に高評価のスタイル。同席の諸氏の受けはよくなかったものの、そこは致し方のないところか。なんというか体液に近い液体のようで、馴染みます。いいねぇ。
5月1日
 今年の一月にこのコラムで書かせていただいた書道の先生に「ド」がいくつも付くほど厚かましいお願いをしていたのですが、なんと先生、気にかけてくださっておりこのほど作品をいただくことができました。お願いするにあたってその文字に対する思い入れなどを説明させていただいていたのですが、その趣旨を汲み取っていただいたそのお心遣いに、正直涙が出ました。
 中国はチベットや雲南省に伝わる世界で唯一の「生きた象形文字」ともいわれる「トンパ(東巴)文字」という朱文の朱印を戴き、下部には星野富弘さんという、若いころ四肢の自由を失ったあと口に筆をくわえて文や絵を描き始め、現在も活躍されている画家さんの絵をモチーフにした白いこぶしの花をあしらったそれはすばらしい作品で、まさに宝物を得た気分です。店の、時として出現するカウンター席の前に飾らせていただいております。先生の懐の深さに深謝です。ありがとうございました。
 えっ、で何と書いてあるかって、それは来てのお楽しみということで。
4月30日
 昔、マージャンを覚えて面白くて仕方がなかったころ本屋さんで見つけた「麻雀放浪記」。阿佐田哲也という作家さんが書いていたのだけれど、一気にその本の虜になってしまい、たしか続編がずるずるとあり全部で四巻くらいになっていたとおもうのですが、読み出すと途中で止められなくなる本の代表みたいな存在でした。なにが新鮮といってサイコロの目や麻雀牌の絵柄がそのまま「文字」となっているところで、とてもスリリングな展開と相俟って強烈な記憶となって残っています。
 後年、この阿佐田哲也という人は色川武大という作家のペンネームであることを知りますが、そのときにはとりたてて色川武大の本を読もうとはしませんでした。最近立ち寄った古本市で色川武大「うらおもて人生録」という本があったので、一度読んでみるかと思い手に取りました。
 人生の劣等生を自認する氏が、現代のいわゆる学校での劣等生に対し書いた「人生」への身の処し方のような内容で読みやすい仕上がりですが、内容はたいへん深いものがありとても参考になりました。
 若い頃をばくち場で過ごした経験から導きだされる、「運」についての考え方、「九勝六敗」を目指す生き方、またばくちから足を洗った後に自身に課した3つの戒律、「一病息災」ということ、など自身の来し方を織り交ぜ説き進める手腕はさすがです。
 解説を西部邁氏が寄せているのも色川氏の「凄さ」なのだと思われます。
今週のワイン4/24〜4/30
 さて今回の5本は、人気ワイン漫画を愛するN氏が遠方より駆けつけてくれるということで、当コラム頻出組による彼を囲んでのワイン会と相成りました。迎え撃つワインもN氏の送って寄越してくれたワインもスゴイ、題して「飲んでまんが(漫画)なワイン会《大阪弁》」。

ドメーヌ・ギーヤール ジュブレ・シャンベルタン・1erクリュ・ポワスノ2001 ACジュブレ・シャンベルタン・1erクリュ フランス
 まずはブルゴーニュから。といってもいきなりジュブレのプルミエ、ちょっとしたワイン会でトリをとってもおかしくない銘柄です。N氏お気に入りの造り手ギーヤール、店長もプルミエはもちろん初めてです。
 コルクの香りからいい状態であることがうかがい知れるしっかりとした果実香。夏みかんやネーブルといったトーンの高いフルーツ系と、10年を経ていまだしっかりとしたタンニンが紫の果実と織り成すトーンの低い部分とが輻輳した厚みのある香りと味わい。とりわけ個性的で秀逸なのがフルーツの豊かさで、感じ方によってはマンゴーや黄桃といった黄色い果実の要素がたわわにある。なんだかんだで参戦が遅れた店長でしたが、グラスのなかで3時間以上もの間放置されながらもポテンシャルを発揮してくれたのは嬉しくもありこの造り手の凄さでもあるのでしょう。隠れグッドヴィンテージとの認識を強くさせてくれる、プルミエクラスのプライドを溢れさせた一流品。
 ワイン漫画参照ページ、第10巻、100ページ

ピオ・チェーザレ バローロ2001 DOCGバローロ イタリア
 今回もっとも若い銘柄が上のギーヤールとこのピオ・チェーザレ。すごいことになってます。唯一のイタリアエントリーとして、「ワインの王バローロ」として意地を見せるか。ワイン界には新参ながら一直線の登山スタイルでめきめき頭角を現し、漫画の熟読度合いではN氏に引けをとらないともいわれるU氏より。
 コルクが固い。これほどの銘酒でこんなに固いコルクは初めてではないだろうか。なんとなく不安になりながらもこじ開けると、不安は一掃、健全な香りでホッとします。いいネッビオーロに感じる活き活きとした巨峰の香りと味わい。ピノノワール的な鼻腔で楽しむというかじんわりと佇む雰囲気と、この後出てくるボルドー的なタンニンの力強さを併せ持つ、いい意味で間を取り持つスタイル。これも熟成加減のいい状態で、エッジに茶がほとんど見られないことから保存状態の良さをうかがわせるが、熟成方法に疑問が残りました。色調からだけなら近年多くの造り手が使う小樽での熟成かと思われたが、液体から樽の要素がほとんど感じられないことから旧来の大樽で熟成させたタイプなのかなとも思われ、うーん古い小樽ならこの状態もありうるか、などと考えた店長でした。がこれも延々と放置されているとやがてチョコレートのニュアンスが強くなってきたので、やはり小樽かなというのが店長の感想。いずれにしても巨峰的な紫の果実が主張しながらじんわりと伸びてエッジの効いたタンニンがドンと主張してくるこのネッビオーロ、やはりいいですな。ただなかなかこれほどの上物に当たらないんだよなー(まあ安いものばかり漁ってるからでしょうが)。
 ワイン漫画参照ページ、第20巻、64ページおよび裏表紙

シャトー・ベルグラーヴ2000 ACオー・メドック フランス
 ボルドーはオー・メドックながら5級格付けを持つ老舗。調べてみるとこのシャトーはサン・ジュリアンとの境界に近く、すぐ近くに3級の銘酒シャトー・ラグランジュが拠を構えています。ボルドー格付けクラスのさすらい人、H氏が送り込んだ刺客か。
 開けたてはなめし革的なもわっとした香りでボルドーらしいともいえるが、ややネガティブな部分も否定できないなーと思っていたのですが、やむなく放置させること4時間くらいか、最初のもわっとした部分がきれいに消えて奥から姿を現したのはいい具合にこなれた濃い紫の果実香。味わいバランスも10年以上のときを経て申し分なく、果実のエキスの強さならこの後のパルメをも凌ぐほど。なにより錚々たるボルドー格上クラスに混じっても存在感を失わないところは、さすがに近年白眉のヴィンテージの恩恵を生かしきったという感じ。これまたすばらしい。
 ワイン漫画参照ページ、第24巻、91ページ

シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン1994 ACペサック・レオニャン フランス
 今回の最古参。秘蔵ワインの中からも入魂の一本を届けてくれたのは神戸組からの催促に快く応じてくれた、剣の達人とも噂されるN氏。今回も二刀流で勝負です。
 コルクからはそれはすばらしい、濃いカシスのような紫の果実香。ただこれも店長の参戦が遅れたために途中の変化を看ることができず、グラスにありつけたときには黒糖的な香りとなっており、テイスター諸氏からは紹興酒との声や少し前にはマシュマロとの声も。それら熟成に由来するであろう香りを排除すると紫から黒い果実がぎゅっと詰まっており、最後は土のからむハチミツ香が支配的となりました。味わいは大地の風味と黒い果実が融合したような感じで複雑。いまだ辛口のタンニンは存在感を失わず、全体として「黒いワイン」といった印象。94年はなかなか難しい年となったなかで、このシャトーは成功したとのことですが、それを裏付けるような果実のパワーを感じます。一般に柔のオー・ブリオンに対し剛のラ・ミッションといわれるようですが、そのポテンシャルを如何なく感じさせてくれた銘酒。今回最も個性的な荒武者といったところか。
 ワイン漫画参照ページ、第3巻、157ページ

シャトー・パルメ1999 ACマルゴー フランス
 そしてトリをとってくれるのはそのものズバリ「第二の使徒」。これをN氏に振舞いたいために今般の会を画策したともいわれるK氏より。もう一枚の「モナ・リザ」は見えるのか。
 コルクからはすでに柔らかさを感じさせる要素が満載。グラスからの香りはややおとなしめに感じるものの液体はシルキーで中心があり大きく丸い。球体に近いという意味では今回のなかでは最上位であろうさすがのスタイル。最高とはいえないヴィンテージ、マルゴーというアペラシオン、13年という歳月が角を削り、粗さを均し、丸く磨きあげた傑作。つるりとした舌触りでありながら紫の果実感、微細なタンニンがきっちりと主張をしているという姿はなかなか体験できない高みにあると思われる。ボルドーのシャトーは何万本というボトルを生産しながらも、その一本から「ワインは人が造るもの」ということを飲み手に感じさせるところが人気実力とも3級以上とされるこのシャトーの真骨頂か。
 ワイン漫画参照ページ、第8巻、176ページ

 みんないつもありがとう。ごちそうさまでした。
今週のワイン4/17〜4/23
ドメーヌ・アラン・パトリアルシュ ブルゴーニュ・ルージュ・ラ・モナティーヌ2009 ACブルゴーニュ フランス
 ショップで試飲をさせてくれる銘柄がいくつかあり、目を惹いたのはジェラール・ラフェだったものの、ちびちびと試飲させてくれたなかで、予算内でのパフォーマンスに長けていると判断したのがこれ。ムルソー在のドメーヌ。深緑地に金の縁取りと文字というなかなか個性的なレベルです
 この年らしいしっかりとした色調。開けたては金属的な香りや芳香剤のような香りが支配的で、あれれと思いましたがどうも還元状態だったようで、やがて消えあとから現れたのは大地香の豊かな果実の香り。アセロラやアンズの味わいは味つきもよく、クラスとして充分な味わい。なかなか活力を感じる液体でバランスのとれたスタイルは飲んで心地よく、散々ビールを飲んだ後でしたがそれでも二人ほどでするするとなくなります。ヴィンテージを味方につけた無理のない造りに好感が持てます。

4月19日
フェイスブック(FB)考。
 先日3月27日のこのコラムにFBを始めましたと書きましたがその後、尊敬するお客様が店長を発見されお友達リクエストをしてくださったうえ、ご参加されている勉強会の皆様とお越しくださいました。そしてFBを活用する術を教えてくださったなかでプロフィール写真は顔を出すべきだとおっしゃられました。
 まさに正論、FBにはいろいろな参加者がおられますが、ビジネスツールとして活用を図っておられる方々は大多数が顔写真をプロフィール写真に使っておられます。そこで我が身を振り返ってみると、たしかにどうも中途半端なんですな。以前はなんとなく押し付けがましいような気がして知る人ぞ知るというようなスタイルでいこうかとも思っていたのですが、実名を出しておいて顔写真を出さないというのは我ながら何がしたいのかと思われ(無意識に軽くなった頭を気にしていたのかも知れませんが)、いっそきちんとリンクも貼ってできるだけ多くの方に行き来してもらえるようにしようと思った次第です。まあこのコラムとの役割分担は以前書いたようにFBでアップした写真などの説明、感想といったことになろうかと思いますが、ワインの写真にとどまらずより幅広くアップすることにより多くの方に楽しんでいただけるよう盛り上げていきたいと思う店長です。当ホームページとともによろしくお願い申し上げます。

今週のワイン4/10〜4/16
デュジャック・フィス・エ・ペール ジュブレ・シャンベルタン2008 ACジュブレ・シャンベルタン フランス
 比較的後発のスタートを切ったドメーヌながら、すぐに一流の仲間入りを果たし、飲んではみたいものの手が届かない存在でしたが、ようやく試せる機会となりました。とはいってもメゾンものではあります。
 美しい明るめの色調。いちご系のフレッシュさを押し出した香りといわゆる大地香はそれほど主張が強いわけではなくどちらかというと控えめ。けれどもピュアできれいに香る。酸によるフレッシュ感のある口当たりから赤果実がじんわり広がっていくさまはやや儚げではあるが心地よい。薄旨系のスタイルで線は細めながら無垢な美しさを感じさせる体躯は清清しさをもたらしてくれる清涼剤。薄味で素材を活かした繊細な料理との相性が良さそうです。名匠ジャック・セイスの子供たちが運営するようになって酒質に変化が現れたとの評価ですが90年代のヴィンテージにあったとされる妖艶さのあるワインというイメージからするとアペラシオンのせいであるかもしれませんが、その面影は全く見当たりません。一度かつての妖しいオーラを放つ銘酒と飲み比べてみたいものです。
4月9日
 このところなんだかおかしいゾ!というニュースが目に付きます。
 消費税の増税法案に対し、連立を組む国民新党の亀井代表が離党する騒ぎに。この法案をめぐっては民主党内部でも小沢派の抵抗に会っている野田政権ですが、総理自身野党時代の辻立ちでは「言ったことはやる、言ってないことはやらない」と叫んでおられました。民主党のマニフェストには消費税増税は書かれてなかったと思われますが、この法案成立に政治生命を賭しているとおっしゃる総理、併せてマニフェストに書いてある議員定数の削減もこのくらいの心意気で強力に推し進めていただきたいものです。ほかには八ツ場ダムの中止。これは建設続行へ。こども手当ては満額支給となる前に紆余曲折を経て児童手当復活のうえ減額へ。公共事業も整備新幹線や高速道路の相次ぐ工事再開。これらのことは自民政権時代に進められていたこととほとんど同じような。
 原発関連では大飯原発再稼動へなりふりを構っていられなくなってきたようで、大臣クラスまで動員して地元の説得に当たっているかと思えば、関東では東電が4月1日からの料金値上げをさも権利といわんばかりの文面で各事業者に送付して混乱中。
 外交防衛では北朝鮮のミサイル発射に頭の体操で大丈夫なのかの田中防衛大臣を尻目に鳩山元総理がイランの核開発阻止のために、頼まれもすりあわせもせず「個人の旅行」として議員外交に向かわれるそう。普天間問題のように迷走しなければいいが。
 泉佐野市が財政赤字の補填に市のネーミングライツを売り出そうと物議を醸していますが、アメリカでは市民一人の町がオークションにかけられていたのがこのほどベトナム人が約7600万円で落札したそう。どこまでが落札者の所有になるのか知りませんが、泉佐野の件のほうが仕組みとしてはわかりやすそうな気はします。もちろんころころ市の名前が変わるのは困りものですが、条件としてたとえば「泉佐野○×市」などとして○×のところを変えるようにして、正式市名としては泉佐野を残すとかすれば可能ではないかとも思われます。
 ひさしぶりにブチマケさせていただきました。
今週のワイン4/3〜4/9
ドメーヌ・プリューレ・ロック ニュイ・サン・ジョルジュ・1erクリュ・VV2005 ACニュイ・サン・ジョルジュ・1erクリュ フランス
 ここから3本は気合の入ったワインを持ち寄って楽しもうということでK氏U氏によるワイン会。これだけのワインが揃うからと、今回はチーズにもこだわってみました。ニュイサンジョルジュで造られるニュイ・ドールとウォッシュチーズの雄エポワスで。ニュイドールはそれほどくせのない素直なクリーミーさが持ち味。エポワスはよりコクのある味わいで、色もニュイドールは乳白色なのに対し、もうすこしカスタードクリーム色で表面はオレンジ系。この表面はさすがにクセがあり、飲み込んだ後の鼻から抜けるアンモニア臭と口の周りの余韻がかなり後を曳いて残る。さてこれらのチーズと以下のワインを合わせてみると、最初はチーズの個性が強く、ワインが損なわれると感じるが、ワインもこのクラスになるとじわじわとマッチングし始めるようで、だんだんと気にならなくなり、やがてまたチーズに手が伸びるという展開となります。チーズのコクのある旨さはさすがというべきもので、めったに旨いと口にしないK氏もウォッシュは初体験だったようですが、なかなか旨いとノタマウほど。ただ我々日本人にとってなじみのない味わいである分の違和感というものは残るようです。まあこれも食べ馴れてくればたまらない組み合わせになるのでしょうが、先立つものが枯渇するのは必至であります。なんせ単価でブランド和牛と充分張り合えるわけですから。
 さてワイン。このドメーヌのモノポール&フラッグシップ銘柄であるNSGクロデコルヴェの格落ちその他で構成されるそう。マツタケワールドが展開するか楽しみであります。じわじわと香りだす果実香の奥からわずかに揮発的な松茸香が、口中ではおとなしめの口当たりからやがてしっかりと濃い味つきの果実が広がる。強いチェリーの味わいとでも言おうか、飲むたびにキャッチーなフレッシュ感がいい。一年ほど前には05年ものが閉じているという噂を聞いたり経験をしていただけにどうかなと思っていたが、もう充分美味しく飲める。飲み始めてしばらくはニュイというかピノの性格がわりと素直に感じられるが、二本目、三本目と飲み比べていくと、時間とともに開いてくるロック香とでもいおうか、松茸の風味が際立ってくる。マツタケには一家言持つK氏もまあ認めざるを得ない程、さすがのロック香。しかしそこはどこまでいってもワイン、ホンモノというよりも松茸のお吸い物かなというところで落ち着くことに。たしかに出汁のきいた味わいで、そこがまた日本人の心をくすぐるのかも。独自の世界は健在でありました。

ドメーヌ・ロベール・グロフィエ ボンヌ・マール2002 ACボンヌ・マール フランス
 超大物ワイン登場。以前飲んだジョルジュ・リニエのこの銘柄が不完全燃焼だっただけに今回ぜひリベンジをしてほしいものです。
 エッジにオレンジが入りかかった色調はこの銘柄にして少し早いかなとも思われる。紅茶のようなトーンの高い、黄色い粉というかなんとなくくるむような香り。味わいは最初ややとらえどころのないトーンの高さがあったが次第に巨峰的な鮮烈な紫の果実が出てくる。液体に持続力があり、直線的に押し出してくる力のワイン。じわじわとその姿があらわになって凄さを溢れさせてくるものの、この造り手、この畑そしてこのヴィンテージということを勘案したときに期待してしまう圧倒的なスケール感、感動というものがいまひとつ感じられなかったのは残念、すでに酔いが回っていたか。

ドメーヌ・ドニ・モルテ ジュブレ・シャンベルタン・アン・モトロ1999 ACジュブレ・シャンベルタン フランス
 05、02という良年のあとに続くのはこれも良いとされる99年、名匠の名をほしいままにした亡き先代入魂の作。
 上のボンヌマールと比べても明らかにしっかりとした少し濁りを感じる濃い色調。香りの広がり、味の強さ広がりともに思わず唸り声が上がる、ガタイの大きな丸みのあるスタイル。液体は紫の果実が広がりながら押し寄せてくるあとからエキスの強さもしっかりと主張し、その大きさに圧倒された余韻に浸れる。文句なしによくできたワイン。モノポールの畑名つき村名クラスとして「どうだ!」といわんばかりのスケール感。時間とともにコンブの香りと味が支配的になるが、さらに置くとまた香水のような果実香が出てくるといった、いまが変化を楽しみながら飲めるピークだと思われる。なかなか得難い経験。みんないつもありがとう。ごちそうさま。

ドメーヌ・ロベール・シリュグ ブルゴーニュ2008 ACブルゴーニュ フランス
 最近なにかと話題のこの造り手、一度試してみたいと思っていたところひょっこり発見し、ゲットしたところにU氏登場、氏の秘蔵セラーにはこの年のV・R・1erプティ・モンという銘酒が収蔵されているとの情報があり、ではその前哨戦といきましょうかと抜栓。
 明るい色調から酸のある果実香、初期には出会えなかったがいちごの雰囲気とはご相伴に与ったU氏の弁。店長のときには赤い果実。ピュアでフレッシュ、ジューシーな液体は明らかにブルゴーニュ好きの一本。個人的にはこのバランス感はすばらしいと思う、が多くのテイスターには酸が勝ちすぎているとの反応を得そうな気がします。とはいえやはり店長の感想としてはすばらしいのであります。こういうワインは贅沢ができるようになった暁にデイリーで楽しみたいものですな。いつ来るかも、いや来るのかすらも未定ですが。
4月2日
 先日テレビを点けると、世界卓球の女子準々決勝、日本対韓国戦をライブ中継しており、思わず食い入って見てしまいました。
 ちょうど日韓2セットずつ取り合って、石川選手とキム・キョンア選手がこれまた2ゲームずつ取り合ったあとの最終ゲームに縺れたところでした。息詰まる攻防が続き一時石川選手が8−4までリードを広げ、店長もよし、このままと思ったのですが、そこからキム選手の追い上げ、そしてタイブレーク(というのか定かではありません、店長はジュースに馴染が)になり、また一進一退の末、石川選手のレシーブが外れ、ゲームセットとなりました。
 とても残念ではありましたが、日本を背負う若者たちがたいへん頼もしく思えた戦いに大げさかもしれませんが胸打たれるものがありました。日本のエースといわれる福原選手でさえ23歳、平野選手27歳、石川選手にいたってはまだ19歳。しかも最後は守りに入って敗れたというよりも、攻めた結果の敗戦と思われ、その気持ちこそ称えられるべきものだと思います。背負うものが今は大きすぎただけです。この敗戦をバネに一層の飛躍をしてくれるものと期待させてくれました。胸を張れ日本。今の若い人はよくがんばっていると思います。我々世代こそ疲れている場合ではありません。
今週のワイン3/27〜4/2
ドメーヌ・レイヤンヌ・エ・パスカル・ブレ ボーヌ2002 ACボーヌ フランス
 ヴォルネーのいぶし銀的ドメーヌだと思っているこの造り手、たまたま飲み頃の良年がショップに並んでいたので思わずゲット。この02年はいい年だからとかなりの本数を飲んだと思いますが、そんな02ものもすでに10年の熟成となっているんですな。月日の経つのは早いものです。
 ややおとなしめかなと思ったらじわじわと香りと味が開きはじめます。深い湿ったような果実香。味わいもじんわりと染み入るような落ち着いたチェリーがたっぷりと。滋味深いワイン。なんとなくくぐもったような、濁りのような雰囲気を感じるナチュラルな造りはあっという間にするする杯が進む美味しさ。熟成によるものであろう液体に一体感があり酸が美しい。

ドメーヌ・エドワード・ブリチェック ジュブレ・シャンベルタン2002 ACジュブレ・シャンベルタン フランス
 上のワインを飲んで、なんとなくもの足りず、酔いも手伝ってええいもう一本となってしまいました。先日のシャンボルの出来がよかったので、二匹目のどじょうを狙って。
 きゅっと酸が締める赤果実の香りはう〜ん、これこれという感じで惹きつけられます。おそらくこれがこの造り手の香りなのであろうということで、ブリチェック香と命名してみました。全般にトーンの高い赤果実が中心でいい熟成を経てきており、快活。このトーンの高さと快活さがジュブレらしいということか。赤果実の粒感が感じられるようなしっかりとした酸がこれまたいい。上のワインが静ならばこのワインは動といったことろか。対照的なスタイルながら甲乙つけがたい出来。

ドメーヌ・ダニエル・エ・マルティン・バロー マコン・ヴェルジッソン・ラ・ロッシュ2009 ACマコン フランス
 恵まれたとは言いがたいマコンやプイイフュイッセといった地域でキラリと光り続ける素晴らしい造り手との愛読誌の評価に飲んでみたいと思い続けながらもなかなか機会に恵まれなかったが、ようやく口にできることに。すこしオーバーですが、高鳴るものがあります。
 米ぬか、ミネラル、やがてハチミツの香り。甘さのある岩清水を飲んでいるようなさらりとしながらもそこはかとない穀物と黄色い果実のほのかな味わい。喉越しによくあるエグさがないのもいい。口に含んだ瞬間よりも口中でじわじわ味がひろがっていく。享楽的でなく、ストイックでもないあるがままのスタイルは、ほっこりと温かく、幸せな気分にしてくれる。これがバローか、噂に違わぬ素晴らしさ。

モエ・エ・シャンドン ブリュット・インペリアルNV シャンパーニュ フランス
 いまさら説明の必要もない著名ワイン。卒業シーズンにご相伴に与ったもの。
 いやーこの銘柄にいまさら説明することなどないのですが、ロゼは書いていると思うのですが、このレギュラーはどうやらまだ書いてなかったようなので。もうはいそうですかの安定感。そしてこのワインが工業製品であることを認識できるのが、複数のボトルを一度に開けたとき。この日も二本開けたのですが、さすがというべきか、まったくボトル差を認識できない、まったく同じ味わい。他のワインでも理論的には同じ味のはずなのですが、なかなかそうはなっていないのが我々のしばしば経験するところ。さまざまな意味を込めて、これこそがモエシャンの実力であり立ち位置。
3月27日
 ここ数年でいわゆるSNSといわれるサイトがぽこぽこ出来てきました。店長も実はどれどれということで、ミクシィやツイッターを覗いてみたことはあります。発信はしておりませんが。まあ店長としてはHPのほうに手間がかかるので、そこまでする余裕もないからなのですが、最近覗いてみたフェイスブックにはちょっと宣伝をかねて発信してみようかなどと目論んでおります。派手な宣伝というものには縁のない店長ですが、このフェイスブックは実名で登録するため、別に隠すこともなくなるわけで、それならせっかくだからこのHPにも遊びにきていただけると嬉しいと思い、このコラムでは積極活用していない写真データを中心にビジュアル化を目指そうかと思っております。といっても飲んだワインのラベル写真を並べることを中心とするだけなので大したものでもないのですが。だらだらと長ったらしいレヴューをFBに書くのはヤボなのでラベル写真を見て、味わいに興味を持った方が、このレヴューに見に来ていただける方式にしてみようと思っています。まあいつまで続くかまったく心許無いのですが、よかったら一度遊びにきてくださいな。
今週のワイン3/20〜3/26
オーヴァーストーン ソーヴィニョン・ブラン2011 マールボロ ニュージランド
 年に一回くらいで開いてくださるワイン会から。今回は新世界ということで集めてみました。このワインの前にチリはヴァルディビエソのエクストラ・ブリュットの泡を開けたのですが、以前レビューしたので今回はパス。先にシャルドネ寄りのスタイルだと聞いていたシュナンブランが決まっていたので、対照となるものがいいと思いNZのSBをチョイス。
 青さのあるマスカット香。これがいわゆる猫の××××というやつ。爽やかですきっとした香りとそのままの味わい。らしい味わいという意味ではたいへん秀逸。ニュージーランドの青々とした草原を吹き抜ける風といった風情。清清しく美味しい。

スパイス・ロード シュナン・ブラン2010 南アフリカ
 シュナン・ブランは本家ロワールでは辛口から甘口まで造られるカメレオンのようなブドウだと何かの本で読んだと思いますが、これが南アフリカではまた異なった趣のワインとなるようです。栽培面積が多く、どちらかというとボリュームを稼ぐ目的で造られているようですが、これはそんななかでも高級路線を目指したもののようです。
 少し青さの残るバナナ、樽の焦げ、奥からハーブのニュアンスも。とても品のある香り。翌日飲み残しを試すとオイリーでナッティーな香りに。黄色い果実を齧ったような味わいが厚みをもってしっかりと付いている。果実の皮のような苦味と旨味がじんわりと広がる。鼻腔をくすぐる香ばしいナッツ香がとにかく上品さを演出している。上のワインとは対照的にホクッとした温かみを感じさせる。これもよくできている。

メイヴェン ピノ・ノワール2008 マールボロ ニュージランド
 赤に移って、まずはやっぱりピノノワールから。カリフォルニアと迷ったのですが、これも先にジンファンデルが決まっていたので、NZに。
 少しジャムかかっているがおだやかでくっきりとした果実香。ピノらしいキュートな果実味、ふっと顔を出すトロピカルフルーツがまたいい。飲み口から果実味が広がるまでにわずかだが空白というか一呼吸あり、そのタイミングが空間を味わうようで個人的に好感。果実と酸が一体となった味わいはとっても美味しいしブルゴーニュに近いスタイルであるがやはり別物の、これはこれで高い評価のできるピノ。

リーピング・リザード ジンファンデル2009 ソノマ・カウンティ アメリカ
 こんな機会でもなければなかなかチョイスしないワインではありますが、その理由といっても特になにかあるわけでもないのです。食わず嫌いな店長であります。
 品種から予想されるとおりの干しぶどう的香りと味わい。焦げっぽい苦味のあるタンニン。樽ではなく品種の個性だと思われます。凝縮感はしっかりあるが、ついつい杯が進むのはクリーンでストレートな造りをしているからであろうと思わせる、けれんみの無さのしからしめるところか。シュナンブランとピノそしてこのワインを推してくださった信頼を置くショップのご主人のさすがの目利きに感服。

ポルタル・デル・アルト アレハンドロ・ヘルナンデス・スペシャル・セレクション カベルネ・ソーヴィニョン2008 マイポ・ヴァレー チリ
 ここ数年で飛躍的に生産量を増やしてきた、アレハンドロ・ヘンナンデス氏率いるワイナリーのこれが氏の名前を冠した最上級キュベのよう。箱入りでさらに紙巻、ボトルの重さ、底のへこみの深さとも堂々としたもの。カベルネ・ソーヴィニョン90%メルロー、シラー各5%。
 内向的でおとなしい香りだが、奥のほうから樽のバニラが隠し切れないというように顔を出す。ポテンシャルの高さが香りからでもよくわかる。品種らしい縦に伸びるストラクチャからしっかりと大きめの粒を感じるようなタンニン。やはりスペシャルキュベ、とっても強いが、エレガントさも併せ持っている。品種の長所を最大限に活かすとこんな姿になるのかとあらためて認識させるザ・チリカベ。翌日試すと、カシスリキュールのような香りと桃やミントといった少し微笑んでくれた香り。香りだけで大化けするのが予想される。甘みがしっかり載っているのが立て続けに飲んだ昨日とは異なりよくわかる。グラスに入れて延々4時間くらい放っておいたがますます美味しくなるのには驚きを隠せません。20年くらいでスゴいワインに成長すると思われる。

ヤラ・バーン シラーズ2002 オーストラリア
 最後を飾るのは、お待たせしましたのオーストラリア。といえばやはりシラーズしかないですな。新世界ワインの10年熟成ものというのはなかなかお目に掛かれないので興味津々です。
 土のからむハチミツ、ミントやハッカ的なスーっとさせる要素も。凝縮感にあふれるが、熟成による土の要素がかなり出てきており、土に還るワインであることを感じさせる。注ぎたてから光を通さない紫ではあるが、最後はサラサラのオリがボトル底に漂い、濁った姿となる。ただ10年でこの姿はやや早すぎるような気がぬぐえない。ワインから感じられるパワーのなさといい、本調子ではないと思われる。大いに期待していただけに残念。

ドメーヌ・シャンドン・ド・ブリアーユ ペルナン・ヴェルジュレス・1erクリュ・レ・ヴェルジュレス2004 ACペルナン・ヴェルジュレス・1erクリュ フランス
 こういったマイナーな産地の比較的敬遠されがちな年のワインは一級クラスでもお手ごろな価格で入手できるのがうれしいところ。またそれゆえ飲みごろが早い目なのもさらにうれしいではありませんか。
 やや薄めながらクリアーで美しい色調から酸の載ったキュートなチェリー香が漂います。きれいな酸をまとった透明感のあるチェリーの味わいは果実味よりエキス分が勝ち気味で、タンニンも最初やや固かったが、あくまで相対的な話で、とてもエレガントな美しさに満ちている。時間とともに各要素が柔らかみを帯びてきてバランスが取れてくると細身のすらりとした美女が微笑みかけてくれます。どうしてもヴィンテージイメージや畑の知名度の低さから敬遠されがちなワインではありますが、店長個人的にはとても高評価。04的なスタイルが堪能できるブルゴーニュ好きの一本。

ルイ・ユエラン ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ2009 ACブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ フランス
 ショップの店長さんの飾り気のない言葉に好感度大なるものがあり、試してみることに。
 しっかりした色調からやさしい口当たりのあとたっぷりとした果実。しかしジャミーにはならす、チェリーであるところが好感。余韻のキュッとしたところがチャーミングないいワイン。初めての造り手ですが、口当たりのやさしさはもしかすると自然派的な造りをしているからではなかろうか。果実味もしっかりとついており、クラスとして要求される基準を充分満たしている。ほっこりしました。
今週のワイン3/13〜3/19
プピーユ2006 ACコート・ド・カスティヨン フランス
 なにかと話題のこのワイン。飲んでみたいと思いながらなかなか実現しなかったのですが、ようやく試せることに。ボルドーらしからぬシンプルなラベルデザインが存在感を示します。
 内向的な香りながら奥から芯のある紫の果実香が。ひんやりした感覚の飲み口からミルキーな舌触りそして強く辛いタンニンが喉越しにかけて広がります。タンニンは強く辛いのですが丸みがあるためか不思議と引っかかりを感じない。これがメルロ100%のなせる業か。紫の果実味はやがて巨峰という明確なぶどうの姿に変わってくるが、これがまたいい。ヴィンテージのためかとてつもない凝縮感というよりはスタイリッシュでエレガントといった言葉が浮かぶ立ち姿。いい意味で全体にひんやりした印象。U氏より。いつもありがとうごちそうさま。
3月12日
 先日被爆ピアノの演奏会に行ってきました。演奏会といっても食堂を急造の会場としたもので、かしこまったものではなかったのですが、せっかくの機会なので聞かせていただくことに。
 さて被爆ピアノとは、1945年当時広島で被爆したピアノのことで、個人の所有者から2010年の国連平和デーにちなみお貸し出しいただき、各地で演奏会をしたあと今回は関西地区で100箇所程度のコンサートを開いてきたそうです。1933年に購入された国産のピアノで、原爆により美しい音を出すことはできなくなったものの、廃棄されることなく所有者の転居とともに移動を経て、2003年、背面に受けた原爆の傷であるガラス片を残したまま修復されふたたび本来の音色を取り戻したということのようです。しかも所有者の方は現在仙台に在住されており、昨年の地震にも遭われたとのことで、今回集まったお金のうち一部を東北の復興に役立ててもらいたいという趣旨だということもお伺いしており、拝聴させていただいた次第でした。
 あれから一年。報道ではやはり人々の関心はすこしずつ薄れてきているという結果がでているようですが、瓦礫の処理すら全く目途がたっていない現在、いまいちど被災地に思いを馳せ関心を失わないように心がけたいものです。
今週のワイン3/6〜3/12
ヴァンサン・ジラルダン サシャーニュ・モンラッシェ2009 ACサシャーニュ・モンラッシェ フランス
 以前の若草色のラベルからシンプルなラベルデザインになって、失礼ながらなんとなく高級感に欠けるような気がしている店長です。以前試したコルトンシャルルマーニュには「ドメーヌ」と入っていますが、このラベルにはないところをみるとどうもメゾンもののようです。
 ガソリン的オイリーさとナッティーな香りの奥から柑橘やミネラルが香る、なかなか複雑で魅力的な香り。きりっとした口当たりから黄色い花や果実、柑橘の皮の苦味の塊のようなしっかりとした味つきの果実味が口中に広がり、そのまま余韻へと苦味が続きます。時間が経つと黄色い果実がよりふくらみを持ち少しトロピカルな雰囲気も。ご相伴のU氏曰く以前試したジラルダンのコルトンシャルルマーニュに通じる雰囲気を持っていると。そういわれれば確かに感じるものがありますが、こちらのほうが全体にミネラリーなスリムさを感じさせる造りのような気がします。香りにはきりっとしたものがありながら余韻にかけてぼてっとした立ち姿になっているのはやや惜しいとも思いますが、食中酒として白身の魚や鶏のクリームソース系の味わいとの相性がとても良さそうで、食事に負けない存在感を示してくれそうなあたりはとても好感が持てます。

テッレ・デル・バローロ バルバレスコ・リゼルバ2005 DOCGバルバレスコ イタリア
 6年以上が経過しそろそろ飲み頃に差し掛かってくるかとの思いで試してみることに。豪奢なラベルデザインがどことなくルソーのシャンベルタンを彷彿させます。
 ビーフジャーキー的乾いた香り。まだしっかりとした状態で熟成感を感じない液体はネッビオーロ特有の中域がさらりと滑るような感覚がなく、ぎゅっと果実が詰まったまま力強いタンニンへと移っていきます。余韻にはすこし甘草や干しぶどうのニュアンスを感じるので、やがてこの雰囲気が前面に出てくるような気がします。想像していたよりはるかに凝縮感が残っており、がっちりとした体躯はさすがにリゼルバ、これはこれで美味しいですが、あと10年くらいしたら素晴らしい表情に出会えるような気がします。
3月5日
 先日日本初の本格格安航空会社ピーチアビエーションが就航しました。関空を拠点に4時間以内のフライト距離の場所に今後も続々と就航させる予定のようですが、まずは福岡、札幌便からスタートしたようです。まあ手堅い需要が見込める路線ですのでまずは安全運転といったところでしょうが、これらの便の最安値がやはり驚きです。札幌便4780円、福岡便では3780円とこれまでかなりの安値を提示してきたであろうスカイマーク社もびっくりです。
 さてこれを機にいったい一日かけてどのくらい安い値段でどこまで行けるのかを考えてみました(我ながらヒマだね〜)。この春のお得切符といえば青春18切符。一日2300円でJR全線の普通列車乗り放題。そしてこの切符が使えるのが4月10日まで。この日までに一番安くピーチの飛行機に乗れそうなのが4月9日の札幌9時25分発関空行きMM102便、なんと3300円。関空11時35分着。そして関空12時05分発のピーチ福岡便MM155便に飛び乗ると福岡まで5580円。そしてこの前後を18切符でつなぐとするとJR新千歳駅に8時46分に到着する列車に間に合うように可能な限り遠くから乗れそうなのは旭川の手前、滝川駅6時35分発の普通列車に乗れば可能となります。そして福岡空港13時15分到着のあとJR博多駅までは福岡空港駅13時44分発の地下鉄に乗れば13時50分にはJR博多駅到着、この運賃が250円。そこから鹿児島を目指しても14時44分の列車に乗れば21時44分には鹿児島に到着してしまいます。もちろん18切符で乗れる普通列車を乗り継いでですので、この間かかった費用は11430円なり。朝北海道の滝川を6時35分に出ればこの金額でその日の21時44分に九州の鹿児島まで行けることになります。まあ実行する人は皆無だとは思いますが、なんだか推理小説のネタになりそうで松本清張先生もびっくりのドラマができるかもと思った店長でした。
今週のワイン2/28〜3/5
ドメーヌ・アミヨ・セルヴェル シャンボル・ミュジニー・1erクリュ・レ・ザムルーズ1990 ACシャンボル・ミュジニー・1erクリュ フランス
 マナムスメの合格祝いにと満を持して登場のK氏。こんなワインを入手したらそりゃ飲む機会に困るわな〜。
 全体に茶の入ったクリアな色調は紅茶のよう。土のからむハチミツやレーズン、ブランデーといった熟成香。じんわりと滋味深い味わいは梅やあんず。全ての要素が昇華したかのようなエキスの強さがこの液体を支えているといった風情でなんとも儚げ、この銘柄を名乗ることのプライドだけがどれだけ熟成しようとも端然とした姿は崩すまいとさせる意地を感じる立ち姿。透明感を感じるさすがの美しい熟成。飲み進むにつれオリが舞ってきて最後にはボトル底にたまったオリが大量にグラスに入って濁った姿となるが、おそらくは長い時間によって析出してきたものではなかろうかと思われる。じっくりとこのワインのぶどうが摘まれた頃に思いを馳せつつ楽しむべき。いつもありがとうごちそうさま。

スワロー・ゲヴュルツトラミナー2009 オレゴン アメリカ
 近辺では屈指のレベルの高さを誇るお魚イタリアンにて。タラの白子のムニエルを芋と根セロリのポタージュに忍ばせカレーオイルで風味付けのアミューズ。カルパッチョ6種。鰤、真鯵、黒鯛、真鯛、槍烏賊、サーモンを香草、ネギ、ケッパー、トマト、生姜、大葉のソースで。あたたかいオードブル3種。牡蠣のココット、穴子とアンチョビのロール焼き、白魚のフリット。メイン、カサゴのフライきのこクリームソース、まな鰹浅利のソース。パスタ、白身魚と春野菜のペペロンチーノ、貝類のトマトソース。デザート、焼きりんごのタルト、アイスクリーム。パン、コーヒー。ワインは一本で通せるものをと思い、泡を見るも予算厳しく、白で。そこそこしっかりしたもののほうがいいかと思い、アメリカのゲヴュルツに。
 イメージどおりの華やかさでしっかりと香る、アメリカンな造りを感じる香り。ライチが中心で柑橘の爽やかさも。はつらつとした香りと飲み口。口中でズシンと存在感を示す苦味を伴った果実がこうして食事をするときのお供としてちょうどよく、我ながらグッドチョイスと満足度大なるものがあります。この品種の長所をしっかりと抽出したスタイルはさすがアメリカ、科学的なアプローチに経験が加味されたかのような計算しつくされた味わいには感心します。雰囲気、料理の素晴らしさも相俟っていいディナーとなりました。
2月27日
 先日たいへんお世話になっている先生の大学ご退官に際しての最終講義を拝聴させていただきました。よく酒席ではお話をお伺いさせていただいているものの講義を拝聴するのは初めてなのでどのような講義なのか楽しみにしていたのですが、想像どおり、いやそれ以上の堂とした講義に畏敬の念をあらたにした店長でした。
 いろいろな内容、形式の最終講義があるかと思いますが、一般的にはこれまでの研究の総括的内容であったり、これまでの歩みを恩師やご関係者の思い出を織り交ぜながら辿ってゆくといったものが多いのかなと思います。しかし先生はそうはせずに「自分は60歳になっても論文を書いていると言った」過去の出来事を由来としたうえで、つい先日発表された共同論文について解説するという形式をとられました。
 数式を駆使した講義ゆえ、はじめて(本当だろうか?)目にする式の意味するところが即座に理解できず、その式を展開してゆくに至っては、そうなるのだろうなくらいの感覚でしがないのが悲しいところですが、有意義な機会となりました。おつかれさまでした、ありがとうございました。
今週のワイン2/21〜2/27
クロスター・ピノ・ノワール2010 プファルツ ドイツ
 ドイツのお手ごろピノということでお奨めされていたのでどれどれということで。
 ドイツのピノとしては濃く、なんとなくくすんだようなルビー色。開けてすぐ口に含んだときには少しジャミーかなと思ったが、すぐに消えてあとからじんわりと、でもしっかりとした果実が感じられる。赤でも黒でもなく、しかも紫というのも少し違うかなという果実の味わいは土壌によるものだろうか、あえていうとミネラルとうま味が混ざっている梅的味わいか。酸はドイツのお家芸、もちろんいいしタンニンは無いかのごとくさらりとしている。コストを考えると、とてもいい。いやすばらしくいい。新世界ではこの雰囲気を出すのは至難だろうと思われる落ち着きがあり、よくこの手の若くして熟成させたような複雑さを演出するためのブレタノミセス的香りがないのも好感。マーケットを意識したのかシュペート・ブルグンダーとせずにピノ・ノワールとしているところにドイツらしさを感じないというかドイツも売るためならという意識の変化を感じます。

ラコスト・ボリー1999 ACポイヤック フランス
 ボルドー5級銘柄シャトー・グラン・ピュイ・ラコストのどうやらセカンドワインらしく、ラベル下部に小さくそれらしいことが印刷されています。せっかくなので、ポイヤックのどのあたりかと調べてみると、ジロンド河の河口寄りのサンテステフ側にラフィットがあり、上流寄りのサンジュリアン側にラトゥールがあります。そしてこのシャトーはそのちょうど中間のすこし内陸側に位置するようです。なのでラフィットとラトゥールの中間の味がするのか〜とご満悦の店長です()
 杉などのポイヤック的というより落ち着いたカシスと腐葉土系一般ボルドー香。どうもブルゴーニュに接する機会が多いのでボルドーの香りは久しぶりの気がしますがやはりいいですな。ほんのりと甘みを伴った果実分がしっかりと残っている味わいは少しまだタンニンが強いといえばいえなくもないというくらいのバランスの良さで、セカンドワイン的な軽やかさが好感。なにより状態がよく、口にするたびワインの健全さを認識させられるようです。それにしてもセカンドワインですら12年もの熟成に悠々と耐えてみせるところに感心します。このワインでもまだもう少しピークに向かうのではと思われるフシもあり、5級格付けのファーストはもちろん、さらに上のクラスに至ってはいつピークを迎えるのか見当もつかないほどの途方も無い時間が必要なのかとあらためてボルドーワインの長命を感じます。
2月20日
 白洲次郎「プリンシプルのない日本」を読んでいます。通産省を作った男として小説のモデルとなり、テレビドラマなどにも採り上げられる方ですが、自身の遺した文章というのはそれほど多くないらしく、この本が月刊誌などに寄せられた文章をまとめて編まれた数少ないものの一つだそうです。
 敗戦後、吉田首相に請われて日本の建て直しに奔走するなかで、政府や議員、はてはアメリカにまでズバズバとものをいうのにただただ感心します。そしてこれはあまり知られていないのではないかと思うのですが、東北電力の会長にも就いていた時期があり、そのときに書かれた文章には是非いまこそ関係各者が読むべき内容が書かれていると思います。
 いまとは時代が違うのでそのときに指摘していたことは一見、見当違いのように捉えられるかもしれませんが、おもしろいことに表面的には現在の東電とおなじようなことを言っています。つまり一般家庭に対しては電気料金を低く設定すべきだけれども企業(想定は大企業)に対しては相対で料金を決めればよいと。これはおそらく大企業は戦時中からなにかと政治の恩恵を受けているからとの思いがあったのと、企業側は料金が高ければ自家発電をすればよい(いまより簡単に出来たのだろうと思われます)という理論があったからのようです。また今とおなじように東北電力管内で作られた電気が大消費地である関東に送られ、発電所のある地元はいまだに石油ランプを使って生活していることを憤っていますし、東北管内の各支店を回って、戦後6年経っていまだ敗戦によって全てを失った状態から脱却できずにいる、そしてそこから脱却しようと奮闘している作業員の姿にいたく感激しまた感謝しています。
 いまこそ彼のような人物が渇望される時代だと感じた次第です。
今週のワイン2/14〜2/20
メゾン・ルクレール・モンデ ブリュット・NV ACシャンパーニュ フランス
 とても久しぶりの外食。一軒目でチリのメルローリゼルバ2009年を飲んでここへ。ここのお店はシャンパンをメインにした構成で、我々以外のお客は全員女性。お店側の狙いも女性客なのでしょうが、見事です。料理は前菜の盛り合わせを頼んだのですが、これがまた素晴らしい。皮目を少し炙った締め鯖、といってもほとんど生の刺身にマヨネーズにさらにレモン汁を加えたドレッシングかけ、サラダの上にこれまたほぼ生のスモークサーモン、トマト系とケッパーの二種のソース添え、鴨のパテ・ド・カンパーニュ、パルマ産生ハム、中心がほんのり赤みがかった、絶妙の火の入れ方をされたフォアグラに蜂蜜がほんのわずかにアクセントとなっています。どれも手の込んだもので感心します。突き出しはツブ貝、オリーブ、タコなどから一皿。
 シャンパンはやはり大手メゾンものが中心で、レンコルタンものを聞いてみましたが、いいお値段だったので、結局は一番お手ごろなものに。泡の肌理がやや大きく、それほど際立ったものではないがシャンパンらしい雰囲気の香り。少し甘みを感じさせながらコクと苦味をしっかりと効かせているところが、イメージどおりのスタイル。この安定感がシャンパンへの信頼につながっているのでしょう。お店のコンセプトに料理のスタイルやレベルの高さがマッチした素晴らしいお店でした。

ドメーヌ・フランソワ・ラマルシュ ヴォーヌ・ロマネ・1erクリュ・ラ・クロワ・ラモー2008 ACヴォーヌ・ロマネ・1erクリュ フランス
 秘蔵のワインが多すぎてセラーに入りきらなくなってきているのでぼちぼち飲もうということでおなじみK&U氏によるワイン会。うむー、こんなワインを隠し持っていたかと驚きの店長です。その昔ロマネコンティとラターシュの間の畑を持つドメーヌというのが売り文句でありながらどうもパッとしないイメージでしたが、近年の充実度は侮るなかれとの愛読誌のご託宣です。ワクワクしますな。
 ややおとなしめの香りのように思われたが、奥に力強い果実の塊を感じ、この塊が熟成によって前面に出来てきたときには至福の体験となるであろうピュアさ、美しさが見て取れます。口に入れると液体の集中力がすばらしく果実、エキス、タンニンがぎゅっと一点に集中した立ち姿。ピュアでジューシーな味わい。美しい。熟成したときに妖しさを醸しだすであろう要素を感じないので、豊満でありながら体型の崩れない美しい熟成の姿が想像されます。今ももちろん美味しく飲めますが固さがほぐれてくる5年後あたりから生来の大きさが花開くのではと思われます。このワインのラベルに刷られた紋章のような大輪の真っ赤な牡丹の花を連想するピュアでクリーンな味わい、と書いたところで愛読誌を確認。黒果実の香り、しかし軽やか。エレガンスパワー、複雑でうま味も出てきている。といったところ。店長はどちらかというと赤果実中心だと感じたが、それはもしかすると次のワインとの比較からきているのかもしれません。

ドメーヌ・アミヨ・セルヴェル シャンボル・ニュジニー・1erクリュ・レ・シャルム2004 ACシャンボル・ニュジニー・1erクリュ フランス
 先週開けたコンセイヤントをこの日に飲もうと予定していた会でしたが、先に開けたので、代わりにと持参してくれたのがこれ、この造り手では過去至福の体験をしているので今回ももちろんやってくれるものと信じて満を持して登場。尻でかボトルと横長ラベルが独特の存在感と高級感を示します。
 ローストのかかった黒い果実の香り。低いトーンで厚みを感じる複雑な香り。少し熟成が感じられる。口当たりは香りのイメージからすると驚くほどなめらか、スルリと入ってくるものの、口中での存在感はたっぷりとして大きく、中身が充実していることがよくわかる。大柄で重心が低く複雑さの出てきた、少し濁ったイメージを持つ、しっかりと濃い液体。これまた旨い。上のワインと一緒にのんだが、この順番で飲んだのは正解。このワインのあと上のワインを含むと、ごく普通のワインにしか感じられないほどの各要素の強さと大きさ。全体に少し濁ったイメージで大きく強いが柔らかいという背反したようなスタイル。クラスとして充分なパフォーマンス。同席のH氏が一口飲んで、これは美味いとつぶやいたさすがの銘酒。この経験を期に氏のワインに対する興味を惹きたいと目論む店長でした。いつもありがとうごちそうさま。
今週のワイン2/7〜2/13
シャトー・ラ・コンセイヤント1975 ACポムロル フランス
 年代もののボトルを見たとき、そのラベルデザインが現在のものと同じであると、現在のラベルの重みが増し、変わっていると過去のラベルの重みが増すような気がする店長ですが、このワインは前者。営々と続く豪奢なラベルデザインは時を越えて引き継がれているようです。K氏より。
 コルクはさすがに一発では抜けず、なんとか抜いてみると抜けた瞬間もろもろと崩れる状態。上澄みはまだ透明感があったものの、さらさらの細かいオリが途中から舞ってしまい、濁りのある液体へ。全体に茶がかかっておりさすがに経てきた時の永さを感じさせます。香りは土のからむハチミツ、腐葉土、コルク。おそらくいわゆるブショネという状態ではなかろうと思われるが、それに近い雰囲気。味は果実分を探しながら飲むとわずかに残っているかという儚さではあるものの、タンニンやその他、液体に溶け込んでいた要素が渾然一体、ないまぜになったものが複雑な味わいとなって感じられる。時とともに「水」に還っていくような年のとり方をするようなワインもあれば、このワインのように「土」に還っていくような年のとり方をするものもあるのかなと思わされる、実に野性味のある立ち姿。このようなワインは「味」を利いて飲むのではなく「時」を楽しむべきワインであると思う。かつて栄華を誇った城が廃墟となって静かに風化していくさまが浮かぶ、これまでの37年の物語に思いを致させる無二の体験。ごちそうさま。
2月6日
 日本の電機産業がピンチです。主要各社のうち赤字を計上見込みの4社合計で今3月期に1兆3900億円の赤字を予想しているのだとか。新聞の社説にはいまやテレビが各社の差別化が難しいコモディティ(日用品)となったがために価格の安さが死命を制する事態となっており、さらにここ最近の円高が追い討ちをかけていると。が、直近では技術でも韓国の後塵を拝する格好となっており、日本はさらなる付加価値の創造を図るべく奮闘してほしいと結んでいました。
 当該社説には申しわけないですが、社説としては残念ながら陳腐だなと感じてしまいました。しかし不思議なのはそんなメーカー各社の苦戦を尻目に家電量販店の好調さです。もちろん合併や提携、淘汰を繰り返してはいますが、それこそが生き抜いていくための方策であり、それなくしてはもはや生き残れない時期にきているのではないかと思います。そしてその結果家電量販店は全体としてまず好調に推移しているかと思います。またスーパーやコンビニといった業界も再編とまではいかなくとも吸収や合併は進んでいます。そして全体として利益をあげています。
 しかしたとえば製鉄業界での新日鉄と住友金属の合併に際し公正取引委員会が独占禁止法への抵触がないかと調査します。でも鉄の業界は日本国内というよりも世界が相手の業界です。世界的にみれば合併後でも粗鋼生産量は世界3位です。公取委員会はそんなことをしている場合かとも思います。電機もしかり。相手は世界なのだから、世界基準での戦いに備えた対応が求められるのではないかと思った次第です。先週の電力会社に対する思いと併せなんだかチグハグ感が否めません。
今週のワイン1/31〜2/6
ドメーヌ・ドルーアン・ラローズ ジュブレ・ジャンベルタン2008 ACジュブレ・シャンベルタン フランス
 この銘柄は過去05年06年と試してきて今回08年となります。その安定感に感心したものですが、久しぶりに試すことになり、どんな表情を見せてくれるのか楽しみです。
 クリアで美しいルビー色。冷し目でスタートしたのでおとなしめの梅系ブルゴーニュ香。らしい香りにそそれらます。やわらかな口当たりながら味つきはよく、きれいな酸とともにしっかりとした果実の旨味が感じられます。全体にクリアな造りで、あーこれこれと思い出す、なんとも心を落ち着かせるような安定感。村名クラスのど真ん中に美しい立ち姿で佇むワイン。期待通りの出来に今回も脱帽です。ご相伴に与ったU氏、おとなしめの鉄っぽい香り、全体にトーンの高い陽性のワインと。いつもありがとう。

ドメーヌ・トロ・ボー サヴィニー・1erクリュ・ラヴィエール2007 ACサヴィニー・レ・ボーヌ・1erクリュ フランス
 以前ヨーロッパでこの銘柄を飲んで、たいそう美味しくいい思い出となったらしいK氏が、夢よもう一度ということで試すことに。一流の証?尻デカボトルに底のへこみも「お〜」というくらい深い、独特のボトルが光ります。
 かなり冷えていたので、とてもおとなしめの香りからスタート。内向的な香りと味わいのなかにわずかにウッディーな浮いた要素が混じります。痩せた体躯にタンニンの張り出しが強く、縦に伸びるストラクチャはなかなか評価が難しく、07年的な負の部分を負ったまま熟成への眠りに入ったのかと思わざるをえないような堅物。だらだらと話をしながら待つこと2時間くらいか、開いてきましたよ〜。どこに隠れていたのか果実分が豊かに膨らんできてタンニンの厳しさもすこし緩和され、本来の姿に近づいたであろう美味しさに。余韻にはマロラクティック発酵からの由来かほんのりヨーグルト的要素も漂います。というところで愛読誌の評価をみると、すばらしいコストパフォーマンスとベタ褒め。さすがにそこまでの姿は見て取れなかったような気がしますが、おそらく以前からこの造り手をちょこちょこ試してきて感じるのは、タンニンの強さ。個人的感覚では05年以前はわりとたっぷりとした果実とタンニンがうまく調和していたような印象でしたが、05年くらいからタンニンの主張が強くなってきた気がします。このワインもしかりですが、これまでわりと早飲みすることが多かったからであろうとも思われ、一度10年くらい寝かしたものを試してみたいと思う店長でした。ごちそうさま。
1月30日
 東電が企業向けの電気料金を17%値上げすると発表したのに政府関係者ほかから異論が噴出しているようです。よく仕組みはわからないながらも安易だなあという感想をぬぐえません。
 政府による東電の国有化を避けるための方策だとか解説していますが、それほど経営の主体性というのは大事なのでしょうか。親方日の丸であることを確認するだけのことなのではないかと思いますし、つぶれそうになってもお国はなにもしてくれない一般の企業から見ると羨ましいくらいのことだと思われます。
 それでなくても景気の芳しくないこのご時勢、電気料金値上げによって破綻する企業が出てきたとしても東電は面倒を見るはずもなくどうぞ破綻してくださいということになるわけで、独占供給体だからできるご都合主義の謗りは免れないでしょう。
 利用者にとって使い勝手の悪い面がたくさん出てくることも想定されますが、やはり一度電力業界を解体し、作り直したうえでより参入をしやすくして健全な競争が行われるようにしなければならないのではないでしょうか。
1月23日
 先日の新聞の見出しに「原発推進研究に104億円」と出ていました。
 06〜10年度に11の大学へ国と関連企業から交付されたもので、総額104億円のうちトップは京都大学の33億円、次が東京大学の25億円、以下つらつらと大学名と交付金額が記載されていますが、その一番最後11番目に店長の出身大学名が載っており、あれま、と思って金額を見てびっくり、まだ報道を見ていない方はいくらくらいだと思われますか?なんと20万円(億円ではありません)。しかも詳しく読むとその20万円は受託研究費や共同研究費といった目的の比較的はっきりしたものではなく、原子力関連企業で構成される任意団体「関西原子力懇談会」なる団体からの奨学寄附金という名目で交付されたと報告されており、店長としてはなんとも複雑な気分になりました。
 見出しだけを読んでリストを見るとそれだけの大学で原発を推進するような動きがあったのかと思われそうです。さらに今回の情報公開請求に応じていない大学もあるとのことで、一面トップの見出しとしてはいささか恣意的なものを感じざるを得ません。
 そしてこの見出しの関連記事として組まれた特集の中にこそトップの見出したる資格があるのではと思われるのが、2012年度予算案についての記事だと思いました。内容は原子力関係分としての予算が、安全や事故対策への割当が7.1%→18.7%と比率を増してはいるものの、総額では4188億円と前年比1.1%減に留まっていることではないでしょうか。
 どうやら結局日本は過去3度(小規模なものも含めるとさらに多数)にもわたるとてつもなく大きな犠牲を払いながらも原子力と縁を切るという方針にはならない国なのかもしれません。
今週のワイン1/17〜1/23
メゾン・ケルラン エシェゾー1999 ACエシェゾー フランス
 K氏よりの挑戦状。
 少し濁りのある液体は熟成感はあるもののしっかりとした色調を保っており、熟成からくる妖しさをほとんど感じない、美しい熟成を遂げた状態。じんわりとした紫の果実にほんのりチェリーが載っており、しっかりとしたエキス分が豊富な旨味となって流れてくる。旨い。この感じなら95,96,99,02のヴォーヌロマネかシャンボルミュジニーあたりかと見当をつけたのですが、つらつら話しをしているうちに、K氏がまだ飲んでいないアペラシオンと言ったので、コートドボーヌに対象を変更、ヴォルネイかコルトンあたりかということで出した答えが99年、トロ・ボーのコルトン。
 そうですか、エシェゾーはまだ飲んでなかったっけ。ということで最初の店長の予想がそんなに悪くなかったと一安心。もちろん初めて聞くメゾン名で、それほど著名でないのかも知れませんが、ワインはすばらしい。おそらくかなりいいブドウと丁寧な仕事からできたワインが手に入ったと思われ、そのうえいい熟成をさせたのであろう、グッジョブが積み重なってできた銘酒。バランスの良さに熟成によるやわらかさが加わった飲み口はゆっくりとたゆたう時間が過ごせます。いつもありがとう。

ドメーヌ・ギイ・アミヨ ブルゴーニュ2009() ACブルゴーニュ フランス
 さて上のワインを飲んで、まだなんとなく飲み足りない感じだったので、比較的手ごろなところで開けようかと思い選んだのがこれ。赤では何を選んでも劣るのは見えているので、ここは白がいいかということで。シャサーニュの名手として一度試してみたいと思っていた造り手。先日のグリヴォの再現なるか。
 すっきりとした香りはレモン、洗剤、奥からミネラル。ところが味は香りからのイメージとはずいぶんかけ離れたもので、口当たりこそ柑橘系やミネラルの雰囲気ですが、すぐに穀物的になり、余韻にはほのかにカスタードの甘さも載っている。やがてりんごの味わいも。香りのイメージよりもこってりした味わいは、K氏いわく余韻にややべたっとしたところが残るとのこと、とはいうものの、店長としては気にすれば確かに感じるものの、ほとんど気にならないレベルで、酒躯としてはスリムながらも、底を支えるミネラルと酸がブルゴーニュのプライドを感じさせる美味しいワイン。なんだかんだいっても二人で二本がするする空くんですから。
1月16日
 書道の先生をされているお客様が関西代表作家のお一人として出品された展示会にいってきました。
 流麗な書から現代アート的な書までさまざまな作品が展示されていました。まったく書の何たるかを理解していない店長ですので、どれもバランス感に長けた作品でしたという小学校低学年並みの感想しか持ち合わせていないのが悲しいところですが、お客様先生の作は大半の時間を費やしじっくりと拝見させていただきました。多数の出品者のなかでも際立って薄い墨を使い、たっぷりと含ませて滲みを効かせた部分や、細くても途切れずすらりと伸びのある筆遣い、書いた句の作者名や署名、朱印といった部分を含めての全体の一体感が感じられ、いわばOFFのときにお話をさせていただいて受けた印象とはまた違った、ONの状態のお仕事を拝見できたことにとても意義を感じました。
 特別陳列として書家としても名高い「良寛の書」が10品程度展示されており、解説員の方の説明も少し聞きましたが、細い字を書く方だなぁと思ったくらいで、その価値をほとんど理解できなかった悲しい店長でした。それでもおそらく少しくらいでもわかるようになれば楽しい世界だろうなということは思いますので、いずれ機会があればすこしずつでも勉強をしてみたいとも思ってはいるんですよ、いずれですが。チケットありがとうございました。
1月9日
 兵庫県、神戸市などが後援する「あじさいコンサート」という催しに行ってきました。17年前の阪神淡路大震災を機に心の復興と題して始められた、兵庫県下の主に学校の合唱部を対象とした演奏会で、県下でもトップクラスの実力を評価された幼稚園〜高校までの団体が出演されました。また客演として大学のグリークラブOBや特別出演として岩手県の大槌町立大槌中学校の合唱部のみなさんも参加され、会を盛り上げておれらました。
 成人式と重ったため各地での祝辞に追われたであろう知事も挨拶のなかで語っておられた「兵庫は合唱王国」という言葉があながち誇張にも感じられない高いレベルの演奏をたのしませてもらいました。とりわけ店長が感心したのはオープニングの盲学校による和太鼓の演奏で、その演奏を見る限り目が見えていないとは全く思えない素晴らしい動きで、おそらくわれわれより何十倍も鋭い聴覚をもってものをイメージする能力が備わっているであろうことを感じさせる演奏でした。そんな彼等の舞台を縦横に動いての演奏も、やはり終わるとそこからは一人で舞台の袖へは帰れない姿をみてあらためて見えていなかったことが我々に認識されたほどで、「集中する」という能力は彼等の五感の一つとなっていることを感じさせてくれましたし我々も集中することにより六感を得ることができると考えさせられた演奏でした。
 演奏された団体のなかには店長がお世話になっている合唱さんの出身学校の部の後輩の方や、OBとしてステージに載っておられたメンバーさんもいらっしゃって、「N合唱団恐るべし」の会でもありました。
今週のワイン1/3〜1/9
ドメーヌ・フィリップ・パカレ ポマール2009 ACポマール フランス
 下のワインをフランスからハンドキャリーで空輸してきてくれたNb氏とともに新年第一弾を飾ってくれるのは、いまや一流ブルコレクターU氏。衝撃のデビューからはや10年近くになろうとしているブルゴーニュ自然派の雄フィリップ・パカレ。独特のシンプルなエチケットと尻デカボトルが光ります。
 ニッキやきのこ、キャンディといったトーンが高めの部分と赤い果実の低めのトーンが輻輳する香り。少しローストも。きゅっと引き締める酸のあとふくよかでやわらかな赤果実が広がる。喉越しもやわらかい。キュボンキュといったメリハリのあるスタイル。同じ自然派として先日飲んだビゾーと比べると、こちらのほうが香り味わいといったスタイルの色調が鮮やかといった印象がある。時間が経ってもなくならないきのことニッキの高いトーンが印象的な、たしかに以前在籍したころのプリューレ・ロックと共通したニュアンスを感じる。よく出来た年ゆえのたっぷりとした赤果実が比較的タンニンの険しくなりがちなポマールという地区の個性をカバーし今でも飲めるスタイルへと導いているのかも。この年にこれだけの酸味をしっかり引き出せるところが匠の技か。全体印象としてパカレはとてもきれいな酸のしっかりと効いた造りをする造り手ではなかろうか。

ドメーヌ・トラペ・ペール・エ・フィス ジュブレ・シャンベルタン2005 ACジュブレ・シャンベルタン フランス
 なかなか実物を見ることができないジュブレ村の実力者。上のパカレと共にもちろん店長初体験。エチケット下部のサインがカッコイイ。あまり当コラムには登場しませんが、なかなかのワイン選択眼をもつNb氏。よくぞ選んで、そして運んでくれました。
 紅茶やシガー、コンブといった少し乾いた香り。わずかだがコルク臭も。これも酸がしっかり効いたあと紫の果実とタンニンが一体となってドンと沈み込んでくる。パカレは丸かったがこちらは少し縦に伸びるストラクチャー。細かいタンニンがじんわりと余韻として舌に残る。かっちりと生真面目な造りで構造に05年的な堅牢さをもつ。手堅い造り手か。期待を裏切らない安定感のようなものを感じた。
 ということで新年早々すばらしいワインたちをありがとう。今年も大いに楽しみたいものです。
1月3日
 あけましておめでとうございます。店長はいつものとおり第九を聞いて格付け番組のワインを羨望のまなざしで確認し、箱根駅伝というおきまりのコースのお正月でしたが、すごかったですね、駅伝。文句のつけようもない東洋大学の完勝でしたが、残念なのは我らが東京農大。往路でまさかの最下位、しかも一つ上の大学との時間差はトップと19位の差の倍以上、テレビに映る時間はそれなりに長かったけれどもあの映り方はな〜。しかも無情にも番組は終了するし。復路でそれなりに粘ったのでなんとかやりようはなかったものかと残念至極の店長です。しかし捲土重来、来年も予選会を勝ち抜いてまたあの大根踊りを披露してくれるものと信じて止まない店長です。今年もよろしくお願いいたします。
今週のワイン12/27〜1/2
ドメーヌ・エドワード・ブリチェック シャンボル・ミュジニー2002 ACシャンボル・ミュジニー フランス
 なかなか飲み頃のブルゴーニュというのが手に入りにくくなってきて、どうしても若飲みになってしまいがちななかで、貴重な2002年のシャンボル。マイナーな造り手のようですが、蔵出しのようで期待が持てます。
 かなり冷し目でスタートしたことと、永い眠りから覚めたためか、じんわりとその姿を現してくる。すこし濁りを感じる液体は複雑さをもつチェリー。味つきもよく、酸と果実がキュンと煌めいたあと染み入るような味わいでそのキュンとしたときにキュートでチャーミングな雰囲気を味わえる、シャンボルらしいと感じられるスタイル。すばらしい熟成感。さすがに時間をおくと少しずつヘタリが出てきてタンニンが立ってくるが、それがまた楽しめるところでもある。熟成しても獣的な部分が出てこないため、それがこのアペラシオンの憧れの混じった人気の所以かとも思われる。美味かった。

ドメーヌ・アルベール・グリヴォ ブルゴーニュ2009() ACブルゴーニュ フランス
 さてここからはワイン忘年会と銘うってU氏ほかと飲んだものでも。まずはムルソーの名手アルベール・グリヴォ。U氏がクロ・デ・ペリエールを暖めている(冷している?)こともあり、その前哨戦か。
 穀物やミネラル、やがてミツやカスタードまでほんのり香るとても品のある香り。この手の香りはほんとうに久しぶりでやはりブル白はなかなか他の産地では真似のできない何かがあると感じます。すこし甘みをともなうホクッとした穀物系の果実味はしっかりとした味付きに酸が効いてキレのある仕上がりとなっている。おそらく上のキュベにいくに従って甘みがなくなり引き締まってくるものと思われますが、今飲むならこのクラスで充分旨いです。匠の技の片鱗を感じるさすがの出来。

シャトー・ディッサン2003 ACマルゴー フランス
 まだワインをやり始めて間もない頃、このワインのセカンドクラスをそれでも当時は思い切って購入し舌鼓を打った個人的に思い出の銘柄。マルゴーというアペラシオン、そして金地のエチケットが眩しかったものです。甘く切なくよみがえります。U氏より。
 樽のよく効いた丸みのあるボルドー香。もうこの時点で高級感ブリブリです。ぶどうのパワーを強めの樽使いでうまく制御しているといった趣で、いわゆる右岸系のモダンワインを若飲みしたときに近い感覚。ですがやはりすでに8年の熟成を経ているからかタンニンの柔らかさがこちらのほうがこなれているような気がします。暑かった年ゆえのぶどうの熟度がストイックさを隠し、享楽ワインとなっているよう。品を保ちながら豊満さを楽しませてくれるさすがの3級銘柄。と書いたところで、愛読誌の評価を確認してみると、なんと、ばっさりと斬られているではありませんか。おそらくボトル差だと信じたい。いくら店長が酔っていたとはいえ、あまりの批評の差異にどこからか「本当に飲んだのか?」と突っ込まれそうな勢いです。ホント旨かったんだけどな〜。

ドメーヌ・ドニ・バシュレ ジュブレ・シャンベルタン2006 ACジュブレ・シャンベルタン フランス
 飲み手がそれほど多かったわけではなかったのですが、なんだかいい雰囲気で上のワインのあと、先日飲んだ三つ上のブリチェックのCMを飲んで、またU氏がセラーをごそごそやりだしたので開けたのがこれ。「いぶし銀」的な評価を愛読誌から献上されているジュブレ在のドメーヌ。
 ノン・フィルターと書かれていますが、液体に濁りは感じられず、むしろ澄んだといった透明感。しっかりした色調。香り、味わいに感じる「正統派」の雰囲気。ただ香りや味のつき方がおとなしいというわけではなく、しっかり香り、しっかりぶどうの味が乗っています。カチッとした造りというかいい意味で遊びがないというか、ワインと向き合いなさいと訴えかけてくるような雰囲気。全体には縦長のストラクチャで果実とエキス、タンニンに力があり、不純なものを排除したかのような純粋さをもつ、まっすぐな旨さのワイン。愛読誌のいう「ヴァン・ド・ガルド」とはこういうことなのかと納得させられました。みんないつもありがとう。
12月26日
 今年も最後の週間日記となりました。悲しい記憶として歴史に残る2011年。個人的にも例年に増して思うようにならない年だったような気もしますが、それでも今年はまだよかったと思わざるを得ないような未来が待ち受けているような気がしてなりません。どう生き抜いていくか、を考えたい年末年始となりそうです。ご愛読をいただいている皆様がよりよき来年をお迎えになりますよう祈念いたしております。今年もありがとうございました。
今週のワイン12/20〜12/26
北海道ワイン 鶴沼 バッカス2008() 北海道 日本
 以前北海道を車で走っていると、ワイン漫画で見たことのあるワイナリーの看板が。目的は別にあったので、スルーしたのですが、引き返す道すがら立ち寄ったのがこのワイナリー。畑に隣接する販売所で聞くところによると、なんでも400ヘクタール以上の畑を所有する日本屈指の規模を誇るワイナリーだとか。いろいろ説明を聞いてチョイスしたのがこれ。バッカスとはたしかドイツ系の品種を掛け合わせた品種だと愛読誌で読んだ記憶はあるものの、どこで読んだか探すのが手間なためここはさらっと流します。
 甘やかな香りは本格的というよりも、言葉は悪いがいわゆるお土産ワインなどに共通する白い粉っぽい雰囲気。ただ味つきはよく、ほんのりハチミツ様の甘みが最初にきたあとじんわりと苦味をともなった果実味がボンと広がる。このタイプにありがちなマスカットのニュアンスは感じない。喉越し後は味わいがすっと引くため、厚みをそれほど感じない。日本のワインとして考えたときよくできたワインだと思います、あまりワインを飲みなれない女性やドイツワインの好きなかたにはちょうどよい塩梅です。ここはやはりワイン漫画(このワイナリーのワインを採り上げた章があるのです)を読みながらきりっと冷して飲るのがとっても効果的かと思われます。

ドメーヌ・ビゾー ヴォーヌ・ロマネ レ・ジャシェ2008 ACヴォーヌ・ロマネ フランス
 愛読誌が発売になるタイミングで、いまや立派なブルテイスターへの道を歩みつつあるU氏が持参してくれたのがこのワイン。いやーホントこの造り手は飲んでおかねば!というところのワインをまさにピンポイントでゲットするそのお手並みには感心します。
 尻デカボトルは店長の基準では銘酒と名手にのみ許されたステイタス。しかしこの造り手のボトルはさらに一味ちがいます。ボトル底のへこみ、その深さが半端ではなく深いのです。はっきりいって笑ってしまいます、おそらくそこそこワイン好きな人ならまず底に親指を入れたら笑ってしまうこと請け合いです、いやホント。ここに名手のなかの名手にのみ許される新たなステイタスが追加されるかもという勢いです
 最初還元香が少しあるものの、霞が晴れるかのように本性を現してくると、梅チェリーのやさしい香り。しっかりと香っているのですがどことなく柔らかさがあり、とても心地よい。味わいも香り同様の梅チェリーでなんとやさしさに満ちた味わいであることか。タンニンはまるでないかのようなウルトラシルキーな舌触りで、ヴォーヌロマネは絹のワインという言葉がぴったりの立ち姿。自然派ということがいい意味で痛烈に認識できる、店長にとってばっちりドストライクなワイン。こんなワインを毎日飲んで過ごしたいと心から思う。大地の養分をしっかり吸収したぶどうは滋味に満ち満ちており複雑、尖った部分がなく真綿にくるまれているような心地よさ。ビゾー恐るべし、素晴らしいワイン造りのセンス。惚れました。

シャトー・ピション・ロングヴィル・バロン1995 ACポイヤック フランス
 上のワインを飲んでいるところへふらりと現れたのはK氏。ワインを携えての登場で、ブラインドで当ててみることに。
 香りをひと嗅ぎしただけでポイヤックと判断できてしまうほどの正統派()ポイヤック香。杉や黒果実がバンバン香ります。まだしっかりとした構造を保っており、タンニンはようやくなじみつつあるかといったところ。文句なしに旨い、かつ高級感をぶんぶん撒き散らすかのようなワインです。そこから出した答えがランシュ・バージュ2001年。そうですか、バロンさまでしたか。ただ店長の予想もそう大きくは外していないと自画自賛です。それにしてもあらためて銘柄オープンして味わってみてもすでに16年以上の歳月を経てきたとは思われぬ若々しい液体で驚きます。たしかカベルネの比率が高いことで知られるこのシャトー、構造の確かさに思わず背筋を伸ばして味わうことを強要するかのような端正さがあります。オフィシャルなフレンチのディナーでこそその本領を発揮できるかのような品格を備えています。樽をそれほど意識することはありませんが、それは樽が効いていないのではなくむしろ果実の充実が樽に勝っているといった姿。豪奢なラベルも似つかわしい、まさに男爵主催の豪華なディナーに招待していただいた気分になります。素晴らしいディスイズボルドー。みんないつもありがとう。
12月19日
 先日政府は東京電力福島第一原発の原子炉が「冷温停止状態」になったとして原発事故収束を宣言しました。その後のメディアや国民の反応は何を言っているんだと憤りを交え批判するものが大半かと思われます。
 ちょうど同じようなタイミングで米国ではオバマ大統領がイラク戦争の終結を宣言しました。9・11同時多発テロの犠牲者約三千人を超える米国側戦死者約四千人、十万人を超えるイラク民間人死者を出したこの戦争の意味は、多くの専門家によりこれからもさまざまな角度から研究されていくのでしょうが、2003年3月の戦争開始からわずか3ヶ月後に、当時のブッシュ大統領により勝利宣言が行われたのをみなさん覚えておられるでしょうか。店長個人的には開戦前に「この戦争はかならず泥沼化する」と周囲に漏らしていたこともあり、狂喜乱舞する米国民を見てなんだか肩透かしを食った気持ちになったものですが、このとき以降われわれは「勝利宣言ノットイコール終結宣言」ということを学びました。
 さて翻って今回の事故収束宣言はどういう意味を持つものになるのか。少なくとも狂喜乱舞しない日本国民をみて多面的に彼我の差を感じる店長です。

今週のワイン12/13〜12/19
ドメーヌ・ジャック・カシュー エシェゾー2006 ACエシェゾー フランス
 このところなかなかコメントを残すべきワインを飲めていない店長を気遣って現れてくれたのはいまやなかなかの論客となった感のあるU氏。手元のワインで飲めそうなものから選んでくれたのは愛読誌でいつも高評価となるこのワイン。数あるグランクリュのなかでも、比較的接する機会の多いこの畑、どんな絵巻物を繰り広げてくれるのか楽しみであります。
 よく熟した紫の果実の香り。口に含むとじんわりとしたたたずまいから急に強烈なエキス分が押し寄せる。乾きを覚えるほどの強さで、凄いワインであることがいやでもわかる、さすがのグランクリュ。じっくり対峙してみると、それほど樽を意識させることのない、エキス系ではあるものの、それなりの色の濃さ果実味の充実感を伴った、ぶどうのパワーを最大限活かそうとする造りであると感じる。そのぶどうは紫の果実のなかに、土の雰囲気を感じ、熟成にともない八角などの漢方が現れてきて、その後獣などの複雑で妖艶なブーケを身に纏うのではと予想される。そしてそれこそがこのエシェゾーという畑の個性なのではないかと思わせる、そういったいい意味での作為のなさがこの造り手の身上ではないだろうか。比較的早くから飲めるワインかなと踏んでいましたが、やはりさすがに早かったか。このワインが花開くとそれは素晴らしい体験となるであろうが、まだあと5年は待ちたい、いや理想的には10年後から15年後くらいまでがピークでその後ゆっくりと力の抜けた、たゆたうような時間を演出してくれそうです。いつもお気遣いありがとう。

12月12日
 先週はとても参考となるお話をお客様やメディアからお伺いできました。
 お一方目のお客様は大阪の高校を卒業後、関東の名門大学で野球部に所属されたそうです。その部はそのお客さまが在籍した当時は有力選手の選抜をしておらず、一般の試験を通って入ってくる選手ばかりで構成されていたので、いわゆる進学校出身の選手が大勢を占めていました。そんないわば良くも悪くも「文武両道」な選手層ながら数年に一度くらいは必ずといっていいほど東京の大学リーグを制覇し、全国大会でも優勝を狙おうかというところまで勝ち進むのです。その秘訣はなにかと問うに、「伸びきる」ことだと。つまり素質は他の大学生と大差なくとも、練習によって能力を最大まで引き出せば勝つことができると。
 また別のお客様方。ある大学のクラブの現役選手たちに対して、もう会社もリタイアされたOBの先輩が話されていました。そのクラブではもう20年以上も前に悲しい出来事があったそうで、そのときの状況をOBの方が現役生に対して説明するとともにそこから得られた教訓と、それを乗り越えて今日まで部を支えてきた歴史、そしてさらに強いチームを造るために何をなすべきかということをお話されていました。
 市民ランナーとして川内選手が福岡国際マラソンで日本人最高の3位と健闘し、ロンドンオリンピック出場も可能性が見えてきましたが、解説者が語ったなかに一人で練習すると自分を追い込みすぎて程々のところで制御するということが難しくなる傾向にある、そのうえ川内選手のスタイルとして全てを出しきるレースをするため、ゴール後に倒れこむことが多くなると。
 最近は「根性」という言葉を使わないし、いまどき流行らないといわれます。店長もそれほど好きな言葉ではないかもしれません。スポーツの世界は特に「がむしゃら」でなく「理論に則って計画的に」という流れがそれまでの反動のように支配的だと思います。それでもやはり考えさせられる出来事が重なった先週の店長でした
12月5日
 たいへんお世話になっているお客様のグループが、研究活動の一環として兵庫は丹波地区において稲作を行われました。このほどその「成果」である新米が届き、お客様にご提供しています。
 耕して天に至るといわれる日本の稲作を象徴するかのような山城の麓での米つくりゆえ、耕作機械の搬入が困難なため人手が必要とされることから、地元地域の人手不足と、街興し、村興しをひとつのテーマとして掲げるグループとの協働となったとのことで、そうした成果が目に見える形で出来上がることはすばらしいことだと思います。
 今回が第一回目の企画だそうで、知名度のない現在はなかなかコストに見合う販売は難しいのではと推測されますが、店長としてもそれゆえ「いいものが手に入る」わけですし、また今後この「山城げんき村米」がブランドとして脚光を浴びるお手伝いができればとの思いです。
 詳細はトップページからごらんになれますので、そちらをご参照いただけると幸いです。またお分けいただいた数量に限りがございますので、ぜひ今のうちにご賞味いただいてそのご感想でも頂戴できればなおありがたいです。以上CMでした。てへぺろ(この意味わかりますか〜)
11月28日
 小磯良平を記念して造られた小磯記念美術館で開催中の、小磯自身も関わった新制作()協会の初期会員の作品を集めた「藤島武二と新制作」展へ、先日チケットを頂戴したので行ってきました。
 戦争の影が忍び寄ってきていた1936年、美術界統制に抗し「反アカデミックの芸術精神」を掲げて小磯良平ほか総勢9名の洋画家が集まり新しい芸術団体として結成されたのが新制作派協会で、会員たちはその秋に第1回展を開き、自由大胆な表現とモダン感覚に優れた画風をもってそれぞれの個性を発揮し、大きな注目を浴びます。そして彼らの多くが師事していた藤島武二がその反官展的立場に同調し、藤島の没する1943年まで賛助出品を続けます。今回の展示は第2回展以降に参加してきた有力な画家たちの作も含め会の草創期から1950年代までにスポットが当てられていました。
 洋画といってもそれぞれの作家の作風はまったくといっていいほど似通っておらず、「描くことは個性の表現」「切磋琢磨」という言葉が想起され、同志であっても制作ではまさに命を賭けてしのぎを削りあっていたのであろう当時の熱い雰囲気が伝わってきました。
 店長はやはり小磯の描く顔の表情に魅せられます。ほかの部分はざくっとした塗り方をしている作でも顔の表情は丁寧であったり、顔でもわりと手をかけていないような塗り方であってもちょっと遠目にみるとやはり他の部分とはちがってそこだけ輝いているようにも見えます。また初期会員ではないものの後に参加した荻須高徳のフランスの建物の画も、以前に荻須の個展を見たからか懐かしく、今回展示はないですが藤田嗣治とともに好きな作風の画家だと再認識しました。チケットありがとうございました。
今週のワイン11/22〜11/28
ルイ・シュバリエ ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー2011 ACボジョレー・ヴィラージュ フランス
 今年も11月第3週の木曜日がやってきました。経済不況の折からますますペットボトルのヌーヴォーが増殖中のようで、かつ派手な宣伝をほとんど見ないばかりか、毎年試飲させてくれたショップも人件費削減と商品歩留まりのアップを意図してか担当者の人影を見ません。しかしそれでも季節は巡るのであります。商品概要の記載文字ほどにも小さくなった感のある今年の作柄説明欄を読むと、毎度の文字が並んでいることからしてもこの節約ぶりは不況という名分を借りての渡りに舟といったところでしょうか。しかしどんなに節約志向になろうとも答えは常にボトルの中にあります。本文に書く内容の薄さを補うかのごとき前振り駄文を連ねる店長、定点観測という建前を振りかざし、今年もペットボトルヌーヴォーのキャップをひねるのであります。
 ヴィラージュものだからか、かなり濃い目の色調。香りもフレッシュいちごのピチピチ感はなく、落ち着いたベリー香。ほのかにりんご酸からくる風味があり、ほとんど甘みを感じない口当たりは好印象。いちごというよりジャム的な味わいですが、そこはヌーヴォー、くどさはありません。いわゆるがぶ飲みの薄くて酸っぱめのワインとは一線を画しており、よく出来ています。ややアルコール感の強さが出ていますが総じてバランスのよい造りです。もっと宣伝すればよかったのにと関係諸者は思っているのではないかと推察されます。個人的にはさらに北部のコート・ドールのエリアにも恩恵がありますようにと祈らずにはいられません。今年も新酒に乾杯です。
11月21日
 雑感。
 サッカー日本代表と北朝鮮代表の試合についての報道をいくつか見ましたが、北朝鮮の応援態度、日本の選手やサポーターへの応対に対して、スポーツの世界において怪しからん、あるまじき態度といった内容が大勢を占めていたと思います。確かに店長も相手国の国歌に対してブーイングするとは何事、と思わないではありません。
 ブータンの国王夫妻が来日されたことにより、「世界一幸せな国」といわれるブータンへの関心が高まっています。GNPならぬGNH(Gross National Happiness:国民総幸福量)という尺度を創出し世界へ発信しているらしいのですが、その基準についてブータンでは@精神面の幸福A健康B教育C文化の多様性D環境の多様性E生活水準F地域活力G時間の遣い方とバランスH良き統治という九項目からなり、複数の選択肢から「満足度」などを尋ねて数値化するという仕組みをとっているとのこと。
 さて北朝鮮とブータン、共通するところを考えてみると、正確な数字は存じませんがおそらく両国ともに国民一人当たりの所得水準が世界的に見て低水準であるということと、世界の情報が入ってきにくい。(ちなみにブータンではテレビやインターネットは99年、携帯電話は03年に解禁されたばかりという)この二つの点が店長の頭に上りました。
 北朝鮮の国民は日本人より不幸であると多くの日本人は思っていると思います。一方私を含め多くの日本人はブータン国民より経済的に豊かなのは判っていても、もしかしたらブータン国民より幸福だとは思っていないとも感じているのではないでしょうか。北朝鮮とブータンが同じような所得と情報の水準だと捉えるならば我々()のこの感覚はどこからくるのでしょうか。国家(統治及び経済)体制?思想や行動の不自由?まあ根はどちらも同じでしょうが。
 我々はこの度の日朝戦に関して彼の国民に対して憤りを覚えたかも知れませんが、むしろ同情すべきなのかもしれません。なぜならほんの70年前にはこの国も同じような体制だったのですから。そして幸福度合いについても我々()の先入観も見直してみるべきなのではと感じた次第です。
今週のワイン11/15〜11/21
ドメーヌ・プリューレ・ロック ニュシ・サン・ジョルジュ・1erクリュ・クロ・デ・コルヴェ1996 ACニュシ・サン・ジョルジュ・1erクリュ フランス
 年に一度?くらいで開催されるK氏による、お宝満載で入りきらないといわれる秘蔵セラーからのちびっと放出会からの二本。でもその前に同席されたT氏よりの兵庫は加西市の富久錦という酒造会社の作ったどぶろくで乾杯です。これがまた旨いのなんの、まったく無ろ過で造られているため、「おかゆ」のような姿で、甘くない甘酒といった風情、あけたてはぴちぴちと炭酸がはじけますが、落ち着いたその味わいはりんご酸による風味が豊かでくせがなくアルコール分が6%未満ということもあり「こめジュース」感覚で飲めるというか噛めるという味わい、あらためてこういった日本古来の文化に敬意を表する気分になります。
 そしてワインへ、まずは言わずと知れたDRCのオーナーにして自らもドメーヌを運営しているプリューレ・ロック。もちろんグランクリュも所有していますが、最も愛着を持つのはモノポールであるこの畑といわれる銘酒、醸造は今をときめくフィリップ・パカレによる良年の作。
 いつもの濁りのある液体からはほんのりニッキ、ハチミツ、マツタケ、アンズ、土など少し高めのトーンで複雑に香ります。酸もしっかり載った味わいはやはりなんとも複雑で怪しげ。ピノノワールの熟成というよりプリューレロックの熟成という感じで、ピノであることはわかるのですが、ここまで怪しげな雰囲気をまとうのかと感心します。このワインを以前口にしたのもたぶん秋から冬にかけてだったかとおもいますが、まさにこの季節に飲むのにふさわしい味わい。秋の夜長に明かりを落としてゆっくり語らうのに最高の友となってくれます。やはり独自の世界が広がっていました。素晴らしい。

レイニャック・キュヴェ・スペシャル2005 ACボルドー・シューペリュール フランス
 名前は聞いたことがあるのですが、その詳細はまったく覚えていない銘柄で、裏ラベルを読むとメルロ75%、カベルネ・ソーヴィニヨン25%となっています。
 ぎゅっと凝縮した固い味わい。香りもやや内向的ですが、じっくり待っていると、やがてきらっと紫の果実が煌きだします。喉越しはそれほど引っかからないのですが、飲み込んだあとのタンニンががちっと険しく、とってもモダンな造り。新世界を彷彿させるクリーンさも持ち合わせている。ポテンシャルの高さが痛いほどわかる屈強ボルドー。あと少なくとも5年は待ちたい。熟成したら恐ろしいワインに成長していると思われる。
 とここまで書いたところネットでこのワインを調べてみると、ヴァテロー家が1990年から始めたシャトーで今の当主がこだわりぬいたワインを造っているのだそう。たとえば畑を深さ4メートルも耕し土壌を理想的なものに変えたり、ミクロクリマのために水路を作ったり、もちろん収量は一本の樹に5房まで落とし、選果は32人もの人を雇って徹底的に行い、樽はトロンセとアリエの森に出向いて直接買い付けるなどなど。そしてそこから出来るワインはシャトー・マルゴーにもひけをとらないといわれるほどのものだそう。
 ふーむ、なるほど。かつそこにはワイン漫画でも採り上げられたと書いてあったので、当ってみるとありました。だいたい同じようなことが書いてありましたが、加えてやはりミッシェル・ロラン氏が関与していたことが判明しました。まあ店長も上の文には書きませんでしたが、このモダンな造りはもしかしてとは思ってましたがやはりですか、どことなしに彼の特徴である、メルロが比較的多めでとてつもなく凝縮させ、かつ若いときからそれなりにするっとした飲み心地を作り出すといったところがこのワインにも出ているな〜とは感じていましたから。
 いつもながらの素晴らしいワインをほんとうにありがとうございました。ごちそうさまでした。
11月14日
 福島第一原発の状況が報道陣に公開されました。その惨状を多くの報道機関が流しています。しかしとりわけ店長の興味を惹いたのは吉田昌郎所長のコメントでした。
 3月11日から数日間、われわれの目にする耳にするのは政府関係者または東電でも東京に駐在している役員、そして原子力の専門家と称する先生方の原理論に基づいた安全宣言のようなものと、隔靴掻痒の感が否めない現場付近からの又聞き情報のようなものばかりであった、まさにそのとき次々と水素爆発する建屋を前に吉田所長は「一寸先が見えない。最悪、メルトダウンも進んでコントロール不能になる、これで終わりかなと感じた」と語っておられます。東電の危機対応に不信感を募らせた、時の菅総理も現地の吉田所長に信頼を置いていたといわれます。
 そしてなにより凄みを感じさせるのが、事故以来現在まで所長として事故収集の現場責任者として黙々と任に当たっておられることです。その気力、体力、精神力、義務感にはただ敬意を表するばかりです。自身の被爆量についても相当な線量となっているようですが、おそらくいまはこの任に当たれるのは吉田所長をおいてほかにいないであろうことからも、お体を気遣っていただきながらさらなる安定へ向け尽力をお願いするばかりです。
 「想定が甘かった部分がある。これからほかの発電所もそこを踏まえて訓練、設備を充実させていく必要がある」といままで封印させられてきたのかもしれない見解を吐露されています。ぜひこの経験を生かしていただける待遇を東電、政府関係者に望みます。
 それにしても都合の悪い情報を隠蔽するのは電力の「雄」東電のみならす、「大王」さまもオリンポスの「神」ですらおまえもか!という昨今ではありますが。
11月7日
 ギリシャにつづきイタリアもその債務残高の多さに世界の注目が集まりだし、タイでは洪水の被害がバンコク都心に近づいています。国内ではTPPへの参加について国論を二分する情勢であり、お隣大阪ではダブル選挙一色となりつつあります。ちなみにここ1〜2週間に起こった、リビアのカダフィ大佐の死亡はまだしもトルコで大地震が起こったことを皆さん覚えていますか?それぞれに一言言いたい気持ちはありますが、世界情勢のあまりに慌しすぎる昨今に嫌気がさした店長、こんなときは読書の話題ですな。
 読書といってもこんなときは時代をさかのぼるに限ります。なんといっても逃避できますから。ということで永井荷風「すみだ川」。
 あとがきで荷風自身が語っているように、明治も三十年代、荷風が5年におよぶ欧米行から帰ってきたとき東京はその面影をことごとくといっていいほど失っていると荷風は感じ、そんななかでも昔のおもかげを湛えているものとして隅田川をとらえ、その感慨を作品にしたのがこのすみだ川という物語だと書いています。
 物語は粋を大事に生きてきたであろう俳諧師が、実の妹からその息子つまり甥っ子が手に負えなくて困るので、一度意見をしてくれという頼みを、俳諧師自身も通ってきた道なので、息子の気持ちをよく理解しながらも「大人」の意見をしてしまったために、自棄になった息子が無茶をして肺病になり運ばれるのですが、その場に偶然居合わせた俳諧師が息子の破棄した手紙を見つけ、自分の意見のために自棄になったことを理解し、羞じるというものなのですが、なにが新鮮かといって、江戸時代でもない、我々の想像する明治の文明開化でもない、発展から中途半端に置き去りにされた下町のこれまた中途半端な開発状態がなんともいえずうら寂しさを誘うことです。これは作者が意図したことが現代の読者にも共感を呼ぶだけの力があるということだと思われ、さすがの筆力だと感じます。
今週のワイン11/1〜11/7
シャトー・カロン・セギュール1996 ACサン・テステフ フランス
 ぎひいきをいただいているお客様の送別会を開いていただいた折に、ご相伴に与かったもの。ボルドー中堅どころのスペシャリスト、H氏の秘蔵ワインセラーから。
 コルクを嗅いだときからすばらしい状態を予感させる魅惑の香り。色調に茶が混じってくる気配はほとんどなくしっかりとした紫色だが、タンニンが凝結して沈んだあとに残った液体を想像させる、色素が少し間引かれたような透明感を呈する。開けたてはすこし還元香があるが、やがて消え、あとから現れてくるのは、樽のバニラとカシス。そこに熟成による複雑さが加わりなめらかさも出ている。杉やひのき、漢方薬的なニュアンスはない。味わいは香り以上に圧巻。果実と樽のバニラが一体となったやわらかく、丸みを帯びたフォルム、肩の力が抜けたかのような穏やかさを見せながらも果実のコアを残したもので、とろみを感じる液体は旨いことこのうえない。また酸化による変化が早く、刻々その表情を変えている。余韻はバニラが鼻腔のまわりを覆いとどまる。ほぼ熟成のピークを迎えている状態で、ボトル内の酸欠状態を開放してやることにより一気に壮年の充実から老いてゆく姿を絵巻物のように繰り広げてくれる。
 熟成したボルドーのよさ、あり方をまた一つ学ぶことのできた貴重な体験をありがとう。我が心はカロンにありだ!

シャトー・ワイラマラ カベルネ・ソーヴィニョン2006 ホーケス・ベイ ニュージーランド
 ニュージーランドの地でボルドースタイルのワインを造ることを目指すこのワイナリー、所有の畑にはカベルネソーヴィニョン、カベルネフラン、メルロが植樹されているようですが、このワインはCS93.5%、CF6.5%が使われているようです。
 上のワインの後に口にしたので、さすがにやや影が薄いが、それでも筋のいいクリーンなワインとなっており、端正な立ち姿はこの蔵のプライドを感じるもの。熟成により、角がとれてきたタンニンは甘くまろやかになってきており、強すぎない樽使いとあいまってボルドーという抽象概念を体現したワインとなっている。これもさすがにいい値段するだけあって品と質を兼ね備えた立派な味わい。
10月31日
 どうやらこの10月31日という日はわれわれ人類にとって記憶される日となりそうです。世界の人口が今日70億人に達するそうで、今日生まれた赤ちゃんは全て70億人目の称号が与えられるそうです。
 1987年に50億人を突破してから約24年での達成だそうです。計算によると現在2秒間に5人もの赤ちゃんが生まれているそうで、日本の少子化などどこ吹く風といった感じです。アジア、アフリカ地域での人口増が目立っているとのこと。
 ラジオでどなたかが「文化は数(の多さによって認知される)」という表現をされていました。それをあてはめると今後の世界は文化だけでなく経済力、政治力などもアジアとアフリカが牽引していくことになるともとれます。そしてもうひとつ忘れてはならないのが宗教。店長もまったくその仕組みはわかっていないのですが、猛烈な布教活動をしているようには見えないのですが、おそらく着実に強固な信者を確保していっているのがイスラム教だと思われます。地理的にも中東からアジア、アフリカは近く、今後の世界人口に占めるイスラム教徒の割合はかなり増加していく可能性があるのではと思われ、現在の欧米(つまりキリスト教)による世界支配という構図は崩れていくスピードを速めていくであろうと感じた店長でした。
今週のワイン10/25〜10/31
 さて今週はときどき手伝っていただいているアルバイトさんが無事進路が決まったということでお祝いのプチワイン会をしたときの模様でも。なんとかワインの世界に開眼してほしいとU氏と一緒に目論んでいるHi氏からの差し入れとU氏の秘蔵セラーからのボトル達で。

ジャック・セロス シャンパーニュ・グランクリュ・VO・ブラン・ド・ブラン エクストラ・ブリュットNV ACシャンパーニュ・グランクリュ フランス
 ブルゴーニュのドメーヌと同じような位置づけのレコンルタン・マニピュランもののシャンパンが注目されだして久しくなりますが、なかなか造り手の顔が見えないのがこの地の特質のような気がします。そんななか、アンセルム・セロスといういわば孤高の革命児が造りだすシャンパンはもうかなり前から高い評価を受けていますが、その人気と価格の高騰は人気漫画に取り上げられたこともありますます拍車がかかっているようです。そんな憧れのワインでしたが、ありがたいことについに店長も口にできる日がきました。アヴィズ、クラマン、オジェ村のグランクリュ畑からのブレンド。V・Oとはヴァージョン・オリジナルの略だそう。デゴルジュマンは2007年4月17日。
 シャルドネ100%とは思えないような濃い色調。うわっ、あふれ出す芳醇な香りにまずくらっときます。土のからむハチミツ、りんご、イーストととても複雑で強く深い、それでいて爽やかさも感じさせるすばらしい香り。口に含むとシャープで細かな泡がズドンと押し寄せたあと凝縮感と深みのある、熟したりんごのような複雑な果実味が強く大きくふくらんで広がります。けれども喉越しは柔らかく、するっと滑り落ちるのはピノ系のぶどうが入っていないゆえかとも思われます。余韻も熟したりんごが鼻腔を漂います。この造り手があらゆる賞賛を集めるのがまったく違和感なく理解できる、唖然とするほど凄いワイン。しばらくすると酒質がまったりとしてきてかりんとうや黒糖の雰囲気がでてきます。まさに陶然とする飲み心地。ブルゴーニュよりさらに北に位置するこのエリアでどうしてこれだけの完熟感と凝縮感のあるワインが造れるのか不思議に感じてしまいます。魔術師アンセルム・セロス恐るべし。

ピエール・ラフォーレ シャブリ・グランクリュ・ブランショ2010 ACシャブリ・グランクリュ フランス
 U氏が試飲会で購入したというワイン。とっても久しぶりのシャブリの気がします。7つのグランクリュ畑のひとつ、ブランショから。
 上のワインのあとに飲んだので、さすがに最初はかわいそうに思えましたが、このワインに馴染んでくると見えてきます、その素晴らしさが。光沢のある美しいクリアゴールドの色調。柑橘とわずかに樽のローストが品よく香ります。味つきのよい果実味はさすがグランクリュ、過剰さがなく適切でしかも集中力のあるもの。強い酒質を酸がしっかりと下支えしており、まったくダレてこない。とても端正な立ち姿。美しい。イメージするシャブリらしいシャブリで、樽を効かせたファットなスタイルと、石灰層からのミネラルと酸でキリッと引き締まったスタイルの中間といったところ。このワインを扱う、ドイツものが得意なインポーターのブルーのボトルに感じられる品の良さがこのワインにも感じられ、なんだか微笑ましい思いの店長です。クラスを裏切らない旨さ。

ドメーヌ・ド・ラルロ ニュイ・サン・ジョルジュ・1erクリュ・プティ・プレ2009 ACニュイ・サン・ジョルジュ・1erクリュ フランス
 愛読誌によるとDRCに通ずる雰囲気をもつといわれる造り手のひとり、先日のフーリエもそのひとりとされていますがそれに続く、個人的にひじょうに試してみたかった造り手。このドメーヌをここまで育て上げたといって過言ではないオリヴィエ・リルシュがこの8月にドメーヌを去ったというニュースもあり彼の遺作としてこれからますます入手難が予想されそうです。
 かなり固めの造りとの評を受けて、3時間前くらいに抜栓し、すこしだけ確認したところ、あんずのしっかりとしたいい香り。個人的に意外だったのはとてもクリアな美しいルビーの色調であったこと、自然派の造り手として紹介されるため、すこしくぐもった透明感を想像していました。やはり固い味わいのためグラスに入れたまま置いておくことに。
 そして本番。キャンディのような紫の果実香が鼻腔をくすぐり、時間とともに梅、そして土のからむ八角などの漢方。ニュイ・サン・ジョルジュらしい重たさを感じる香りが奥からあふれ出します。しっかりとした味つきですが、さすがにタンニンが強く辛く、ゆく手を阻んでいます。だんだんと複雑になる味わいは紫の果実が、強いタンニンとともにベースにしっかりと構えており、その上に幾層もの要素が載っているかのようですが容易には姿を現しません。しかしいいワインであることは各要素の強さとピュアさからも感じられ、たしかに愛読誌の指摘するように、いましばらくの我慢が必要。3年後にもう一度出会いたいものです。
 いつもながら素晴らしいワイン達をありがとう、ごちそうさまでした。
10月24日
 今年もごひいきにしていただいている合唱団さんの定期演奏会にいってきました。今回は団結成25周年、第20回目の定期演奏会ということで、舞台も三宮に移し盛大に行われました。ほぼ満員の盛況で、開演5分前に伺ったときには席を探すのに苦労したほどでした。ミサ曲、ジャズアレンジ、日本の合唱曲とここ数年の活動の成果を集大成された感のある充実の演奏で楽しませていただきました。
 店長よりすこし上の世代にあたる方々が岡本の喫茶店に集まって団結成の相談をされたこと、阪神淡路大震災で活動の方向性に変化があらわれたことなどのエピソードを披露され、この25年の軌跡を振り返っておられました。
 四半世紀のもあいだ一つの組織を維持していくことの難しさ、苦労など、なにも言われずにさらりとした口調でしたが、店長がその活動にご縁をいただくようになってからかれこれ十年ちかい月日が流れていますが、何度も拝聴させていただいているそのステージの構成メンバーの変遷を思うにつけ、その運営にはさまざまなご苦労があったことが拝察されます。今回のステージに草創期からのメンバーさんは6名が参加しておられるとおっしゃっておられましたが、その方々の強固なつながりと意志が今日を導いたのだろうと思い、敬意を表するとともに店長もさらなる未来を目指し努力していきたいものだと感じたステージでした。ありがとうございました。おつかれさまでした。
 なお毎回掲載の写真は、会場アナウンスにより今回はなしとなりました、あしからずご了承のほどを。(誰も期待してないか)
今週のワイン10/18〜10/24
加西ワイン ラカン2010 日本
 兵庫県中央部にある加西市で採れたゴールデンベリーAから醸されたもので、なぜか醸造は長野県安曇野市となっています。設備面の理由から醸造委託しているのでしょう。これを赤ワインと呼んでいいのかと迷う薄い色調です。ただわざわざロゼを造る理由も見当たらないように思うので、分類上は赤ワインだとおもわれます。

 香りはほとんどないものの、口当たり味わいはふんわり柔らかいもので、果実味に欠けるうらみはあるものの甘み、酸味、苦味が均等に配分されたかのようなたたずまい。ゆえに普段飲んでいるワインからすると甘く感じる部分が大きいように思われますが、お土産用としてはこのくらいのほうが受けるのではと思われます。裏ラベルに書かれた飲み頃温度の6〜8度というのは、それゆえいい線をいっているなと妙に納得した店長でした。
10月17日
 スポーツの秋。サッカー、ラグビー、野球、ゴルフなどの記事が満載の昨今ですが、個人的には世界体操の内村選手の金メダルを獲った床運動に感嘆しました。最高G難度、後方抱え込み2回宙返り3回ひねり、技名「リ・ジョンソン」。ピタリと着地するその美しさに惚れ惚れしますが、演技を見ていると回転が速すぎてどう動いているのかわかりません。がこれは我々素人にはむしろ当然で、どうやら審判でさえも回転を一回少なくカウントしていたようで、コーチの申し入れによって訂正されたのだとか。人類はここまでできるのかという凄みを感じる演技でした。
 でそれら我も我もの記事が紙面を占めるなか一角に来年正月に行われる箱根駅伝の予選会の結果が掲載されていました。これまた店長個人的に目が吸い寄せられます。店長の応援大学はずばり、「東農大」。あの一月二日大手町をスタートする前に繰り広げられる「大根踊り」には正直「痺れます!」。ところが毎年10位前後をいったりきたりするのでこれまた「痺れるんです」。なぜかというと10位以内までは翌年の出場権を自動的に得られるからで、10位と11位は天国と地獄といわれる所以です。今年の箱根駅伝の結果は翌年のシード権を得られる10位には入れず、悔しい思いをしましたが、最近新聞の小さな字が霞みだした店長が目を皿のようにして予選会の順位結果を見たところ、ありました!なんと堂々?の4位、40大学中9大学までが参加権を得られるというキビシイ戦いのなか、うーんさすがです、「痺れました」。ただこの4位というのは箱根駅伝本番ではかなり微妙な順位であることは確かで、来年もまた我らが東農大、10位以内の争いで痺れさせてくれそうです。俺って変?
10月13日
 このところ訃報や受賞が複雑に絡み合ったニュースによく接します。
 スティーブ・ジョブズ氏享年56。アップルの最高経営責任者としての功績は時代をめまぐるしく変化させました。米ロックフェラー大のラルフ・スタインマン教授享年68。ノーベル医学生理学賞受賞前の9月30日、自身の研究実験を自分の体で行うもその功績を称える報を知る前に逝去されました。ワンガリ・マータイさん享年71。環境問題運動家として女性初のノーベル平和賞受賞。遺言で自身のライフワークである森林破壊防止の観点から木の棺での葬儀をしないでほしいと残され国葬されました。
 いずれの方々も何人、何十人、何百人分の仕事をその必ずしも長いといえない人生で成し遂げられました。折りしも日本の年金は支給開始を68〜70歳に引き上げる案が浮上してきています。どう生きるべきか、考えさせられるこのところとなりました。ステイ・ハングリー、ステイ・フーリッシュでありたいものです。
今週のワイン10/11〜10/17
シャトー・モン・ペラ2009() ACボルドー フランス
 数年前の大ブレークからいまやお手ごろボルドーの定番となった観のあるこのワイン。白もなかなか侮れないとの評価からそれではと。
 10℃程度の冷えた状態からスタートしたが、シャープなミント、ローズマリーや白い花の品ある香り。りんごや柑橘も。クリアゴールドの美しい色調は温度の低いときは日本酒的キレのある濃厚辛口の味わいでキュッとしたスタイリッシュな立ち姿だが、温度が上がってくるとやわらかなあさとふくらみが出てくる。余韻に残るアルコール感が辛く強いところからも、いましばらく寝かせてからまた試してみたいと思わせる筋のよさと評価に甘んじない努力をしていることを感じさせるワイン。
今週のワイン10/4〜10/10
ドメーヌ・ヴァンサン・ジラルダン コルトン・シャルルマーニュ2006 ACコルトン・シャルルマーニュ フランス
 ブルゴーニュの白ワイン、3峰の一つ。ついに踏破。山頂からの景色はいかなるものか期待に胸が躍ります。プチワイン会の様相を呈した飲み会で、早くも山頂に到達してしまったU氏より。ヴァンサンジラルダンのドメーヌもの。
 輝く黄金色。グラスからあふれだすクリーミーな香りはナッツ、穀物、ミツ、パイン。トロピカルな黄色い果実が酸のおかげでダレずに品を保ちながら強く香ります。口に含むと濃い、とても強烈なキリッとした果実が凝縮されて押し寄せます。果実味が一点に集中したあと喉越しにかけて拡散するような感じで、あたたかな南国のムードを残して去っていきます。さてこれらを総合するとこの頂から見える景色は意外にも南国のリゾートホテルで迎えたすがすがしい朝にフルーツやパンをを一杯に盛った皿が並ぶバイキングの朝食といったところでしょうか。きりっとしたところももちろんありますが、全体印象としては弛緩した極楽系のワイン。
 翌日少しボトルに残っていたのを発見し、試してみるとまったくヘタりは感じない。あえてテイスティング用の小さいグラスにいれたのですが、香りはまだあふれ出します。余韻に感じるクリームブリュレ様の雰囲気が心地よい。さすがの銘酒。

ドメーヌ・ジュルジュ・ルーミエ シャンボル・ミュジニー2005 ACシャンボル・ミュジニー フランス
 先日欧州より帰国したK氏が、渡欧するまえになにかいいワインを用意しておくようにとのことでチョイスしたのが氏に幾度も飲ませてもらっているルーミエさま。ルーミエ史上最高のヴィンテージとされる05年もの。ちと早いかな〜と思いつつもまあ皆で楽しく飲めるときに開けてしまえということで。
 チェリーを通り越してアンズのような凝縮感ある香り。少し隠し持っているポテンシャルを感じさせながらも隠し切れない美しい香りは過不足のない中域のトーンを奏で、時間と共にほんのり桃や桜のニュアンスが浮き上がってきては消えていく。そろりと口に運ぶと深く強烈なエキスが旨味となってどしんと舌に落ちてくるがこれも時間とともにやわらかく滑らかになってくる。先日のヴォギュエほど向こうから愛想を振りまいてくるというわけではないが、こちらから求めればじんわりとかつきっちりと応えてくれる、チェリーでありアンズであり紫の果実である多層的味わい。ダメージ感のない状態は健康で明るくしかも知的で慎み深い、中肉中背の、そんな人がいるのかと思えるほどの理想的スタイルに華やかなブーケを纏った立ち姿。健康なぶどうを育てることに惜しまれない労力と、そこから得られた健全なぶどうをありのまま丁寧に醸し育んだ愛情の賜物。
10月3日
 4年ぶりの日本人大関誕生の報に沸いた角界ですが、注目された口上は宮本武蔵の五輪書からですか。なんでも琴奨菊関の本名そして父、祖父と名前に「一」がつくことにちなんで探したのが「万里一空」だったとのことで、しばらく流行りそうな感じです。
 この昇進を告げる使者に対する口上のなかで毎回注目される四字熟語、それこそ日本の国技のようなものだとの新聞の解説に妙に納得させられましたが、この「四字熟語」という熟語は熟語辞典に載ってまだ20年ほどなのだとか。
 同じ記事欄に創作四字熟語の入選作が掲載されており、過去の作品「様様様様」(ヨン様)「全人見塔」(スカイツリー)などとともに相撲関係として、奇奇怪怪ならぬ「危機角界」、連戦連勝ならぬ「白戦連勝」とありました。
 ここで店長、なんだかしっくりこないゾ!と思ったのは「連戦連勝」。それよりもここはやっぱり「百戦連勝」でしょう、とひとり突っ込んでしまいました。たぶんこの欄を読んだ読者からの同様の指摘が新聞社のほうに寄せられているのではと気を揉む店長です。
 琴奨菊関もこういうのではないでしょうか。「『一』をつけて欲しかったッス」。
今週のワイン9/27〜10/3
 ひょんなことから東京に行くことになり、せっかく行くのならと方々に無理をいって付き合っていただきました。今週はそれらのワインでも。

ジャン・ルイ・ドゥノワ ブリュット2006 ACクレマン・ド・リムー フランス
 大学時代の同期の仲間二人とお昼に待ち合わせ。浅草のイタリアンで。ワインの価格がお手ごろで充実しています。まずはリムーの泡から。
 ものの本によるとリムーはラングドックでもっとも西寄りに位置し、93年にACを獲得した120ヘクタールほどの地域だそう。発泡酒の産地として有名らしく、その説のとおりのチョイスとなりました。ヴィンテージ付きのクレマンです。料理はチーズ、パテ、サラミやハム、野菜やドライフルーツの前菜。エビのアーリオ・オーリオ。トリップの煮込み。カルボナーラ。昼から宴ですな。
 爽やかな、穀物やほのかにりんごの香り。期待させます。ホクッとしたブリオッシュや熟したりんごの味わい。これは旨いです。シャンパーニュですといって出されてもまず疑わないと思われる、スッキリさとコクを併せ持つスタイルは昼から飲むのにちょうどよく、料理にも負けないくらいの味わい。なのにとってもお手ごろなのがかわいそうなくらいです。と書いたところで裏のラベルを確認するとこのジャン・ルイ・ドゥノワ氏というのはシャンパーニュの6代目蔵元を継ぐべき人物だったようで、好奇心を捨てきれず、家を飛び出し新世界で研鑽を積んだあとに、この最高の場所に出会ったということが書かれています。シャルドネ、シュナンブラン、ピノ・ノワールから。道理でね。

コンティ・フォーウィ・・・ 2009() DOCコッリオ イタリア
 デジカメに記録したのですが、あまりにボケており、ほとんど読めませんでした。なぜこのワインにしたかというと、リボッラジャッラという古くからある土着品種を使っているから。ほとんど省みられなかった品種のようですが、近年目にする機会が増えており、一度試してみたいと思っていたところでした。
 これが品種の個性なのかほとんど香りません。柑橘系の味わいがじんわり辛いワインで、もっとまったりトロンとした液体を期待していたので、なんとも期待したのとは違うスタイル。一本目が良すぎたこともあり、ちょっと拍子抜けしたのか、デジカメも表ラベルだけしか残っていない上、解読不可能と相成ってしまいました。ここは気を取り直して。

デ・マルティノ 347ヴィンヤーズ カベルネ・ソーヴィニョン リゼルヴァ2009 チリ
 裏ラベルを読むと、347の地域で栽培研究されてきたなかで、品種のよさをもっとも引き出すことの出来る限定された産地のぶどうを使っているとのこと。ラベルはなかなか気合が入っていることを感じさせます。
 自信満々のコメントを裏付けるような、乗りのよい、甘くふくよかな味わい。この種によく見られる青っぽさがなく、たっぷりとしていながらベタッとならないのが秀逸なところ。新世界、なかでもチリ・カベの真骨頂。ヨーロッパでこの味このスタイルにするのはまず不可能だろうと思われる、「陽」の要素だけを集めて造ったようなワイン。と3本目にかかってしばらくしたところで、予定の時間が押してきて相方二人には申し訳なかったのですが、店長だけ中座を余儀なくされることに、後ろ髪を引かれる思いでお店を後にしました。いつもながら楽しい時間をありがとう。

M・シャプティエ コート・デュ・ローヌ2009() ACコート・デュ・ローヌ フランス
 さて夜はあつかましくも、ご無理を言ったにもかかわらず、快くお付き合いくださった、こころの兄貴と慕うご夫妻とご友人とで。渋谷のフレンチビストロにて。正式な料理名は恥ずかしながらほとんど知らない(というより覚えようとしない)店長なので、出来上がりの雰囲気で。前菜は豚のペースト、鶏レバー(だったか)のムース、鯖(だったか)のブランダード風、ナスのペーストをバゲットに付けて食べるスタイル。砂肝のコンフィ。オリーブ。トマトのミンチ詰めグリル。鶏のロースト。鴨のローストといったところ。とっても豪華です。酒豪揃いでやはり3本。まずはギガルと並ぶローヌの巨人シャプティエの作る白。
 薄い色調でほのかな柑橘系の香りながら、飲み初めの温度がやや高めだったので味はややぼってりとしたところが感じられたが、クーラーで冷してくれたので次第に締まってきたように感じられた。ただ話に夢中になりすぎたのかはたまた昼のアルコールが残っていたのか、ここから3本はその味わいほかを記憶に頼っていることもあり、自分でもかなり怪しげなコメントとなっているような・・・。食中酒としての存在感は充分。

ブルゴーニュ・ピノ・ノワール2009 ACブルゴーニュ フランス
 初めて名前を聞くネゴシアンのもの。名前はいけません、失念です。
 それなりにしっかりとしたイチゴの香りと味わい。タンニンはほとんど感じない。
ボージョレをイメージするスタイルで、目の詰まりや味のつき方はクラス然としており、まずネゴスものとして不足はないといったところか。やはり09年の恩恵に浴していると思われる一本。

シャトー・ラ・ロベルティー2007 ACコート・ド・ベルジュラック フランス
 そしてしっかりしたものをということでお店の方にお奨めいただいたのが、このベルジュラック。ジロンド河がボルドーでガロンヌ河とドルドーニュ河に分かれていきますが、ベルジュラックはボルドーから東に延びるドルドーニュ河の上流にあたるようです。メルロ85%、カベルネソーヴィニョン15%(だったと思う)。珍しいことにヴィニュロンとしてブリジット・スーリエとエチケットに名前を載せています。よほどの栽培家なのでしょうか。1736年からの歴史を有すると思われる老舗シャトーのようです。
 メルロ中心ながら、香りはグルナッシュのような白こしょうにスパイシーな味わい。
ややメルロにしては角を感じる造りかなと感じたが確かに凝縮感の強い、しっかりとした辛口。07年のボルドーは厳しいといわれていますが、その負をも感じさせないようなぶどうを収穫に導いたのがこのブリジット・スーリエなるヴィニュロンなのかもしれません。メルロというよりはカベルネ的な骨格を感じさせる、酒質の強さではこの日一番のワイン。たっぷりと肉料理を堪能したあと、タルト地にフルーツの風味を効かせた生地を詰めて焼いたデザートにコーヒーをいただき締めに。かなりお店の閉店時間を延長してくださったようで、申し訳なくもありがたい宵でした。楽しい時間は早く過ぎていくものですね。

ドメーヌ・セリエ・デ・ウースリーヌ ブルゴーニュ・ヴィエーニュ・ヴィーニュ1999 ACブルゴーニュ フランス
 で、寝酒?にお世話になったご夫妻宅でまたもや抜栓。
 これがまたいい熟成をしており、じんわりと染み入るピノの味わい。散々飲んでもまだ旨いです。とりとめのない話にするするとなくなっていき、もう一本開けようかといわれましたが、さすがにギブアップです。ほんとうに充実した一日をすごさせていただきました。みなさまありがとうございました。
9月26日
 8月22日にこのコラムで紹介した福島県の児童のみなさまから、想い出文集を頂戴しました。店の自慢話やビジュアルの多用は自戒している店長ですが今回は例外ということで。

 わざわざ当店宛に表紙を印刷して編集していただいた文集の入った封筒を開けたときから不覚にもうるっときました。


見開きには店で食事をしている児童さんと朝食が(右下・ハズカシ〜)。


ご参加のみなさん一人ひとりの感想と裏には思い思いの絵や写真、そして保護者さまからのメッセージが。なんだか文字が滲んできました。なかでも「びーあん賞」獲得はこの方。


もう五重花マルを差し上げたいです。で、裏のページでは。


なんと左上には当店の朝食の絵が!!!もう鼻水でじゅるじゅるです。


 各種報道で福島の現状が報告されていますが、なかなか実感を伴わないなか、子供たちの書いてくれた感想や親御さまのメッセージが、福島での厳しい現状と、それ故により一層の感謝の言葉となって綴られているのを拝見させていただき、なんだかこちらのほうが元気をいただいた気持ちになりました。ほんとうに一刻も早い復旧復興を願わずにはおれません。

今週のワイン9/20〜9/26
ドメーヌ・ジャック・カシュー ブルゴーニュ・レ・シャン・ダルジャン2009 ACブルゴーニュ フランス
 愛読ワイン評価誌によると、このクラスとエシェゾーがいつも安定して出来がいいとされるヴォーヌ・ロマネの良心ともいえる造り手。店長も裾モノを中心に度々お世話になっております。なかんずく出来のよかったとされる09年もの。
 アメリカンチェリー的濃い香り。目が詰まっており、味の載りもよい、もう評価通りの味わい。少しですが余韻まで感じます。たっぷりとした味わいは出来のいいといわれる年に共通するもので、どうも最近は狙っていることもあり、この手の味わいが多い気がします。まあこれはこれでいいのですが、店長的にはもう少しチャーミングさがあってもいいかなと思いますが、いずれにしろゼイタクすぎる注文です。一時間くらいですっかり硬さがとれ、やわらかい、すべるように喉に流れこむ至福の味わい。惚けます。
今週のワイン9/13〜9/19
ヴィーニャ・センス セイン モナストレル・シラー2009 バレンシア州アリカンテ スペイン
 お世話になっているショップでは少しまえから若き才能が生まれてきていると感じていましたが、夏場あまり顔を出さないうちにいよいよその才能が開花し始めているようです。ショップおすすめの一本。DO表記が見当たらないので、カテゴリー的にはテーブルワインとなるのかもしれません。
 濃い紫の、健全さを思わせる色調から野性味を帯びたカシス香。やわらかい口当たりながら凝縮感たっぷりの果実の味わいとうまくマスキングされた膨大なタンニンが引っかかりなく流れていく。甘やかな口当たりから辛い後口へ。見事に制御されたパワーはラベルと相俟ってモダンなスタイル。ちょっとこじゃれたレストランで、がっつりと肉を食べながら飲むのに最高。旨い。調べてはないですが、おそらく規格にこだわらず自由にうまいワインを造ろうとした若手実力派の造り手と見たがどうでしょう。

シャトー・レヴァンジル1993 ACポムロル フランス
 ふらりと訪ねてきたK氏。箱に入ったボトルを持参。ということは自称100万ドルの舌を持つ店長への挑戦状のようです。よろしい、受けて立とうではありませんか。
 とても複雑で品のあるいい香り。香水、白檀、桃、石鹸、白い花、やがて漢方薬。樽のうまく溶け込んだ、おだやかになった表情からは熟成ピノの雰囲気。初期にすこし骨格らしきものを感じるときにはカベルネ系かと思うが、やがて丸くなってきた段階でメルロらしさが出てくるよう。液体濃度がややさらりとしていると感じたので、出した答えは95年、ポイヤック。う〜ん、まあ外しはしたものの、いい線はいっているかなと。以前93年のコンセイヤントでもピノらしさを感じたので店長の感じるこのピノらしさこそポムロルに通じるニュアンスなのかもとあらためて感じる店長です。やわらかくピークを少し過ぎたかなというところの味わいは、樽のバニラが高いトーン、果実によるタンニンを含んだ部分が低いトーンを形成しており、バランスのいい立ち姿からいい熟成を経てきたことを感じさせ、とても美味しい。やはりいい熟成を経たボルドーは素晴らしい。いつもごちそうさまです。
9月12日
 先日何気なく北海道の新十津川町を車で通過しました。ふとなぜ「新」がつくのかなと思ったのですが、まあ近隣の人々が新しい町として造ったからなのかなという程度に考えていました。
 折りしも台風12号の被害が甚大でいまなお集落の孤立が続く奈良県十津川村が話題になっています。
 そしたら新聞に「新十津川町、母村復旧にあらゆる手段」との見出しで記事があるのを目にしました。なんでも新十津川町は、1889年(明治22)に奈良県十津川村で起こった大水害によって村民の約2500人が集団移住したのが同町のルーツらしく、今回の災害に対し、道路の復旧を待って町職員の派遣や食料等の物資の支援、かつ義捐金まで募ることにしたという。
 そうだったのかとなんとも不思議な縁というか偶然を感じたのですが、さらにその感覚に追い討ちをかけたのが、不穏当な発言だと報道され辞職に追い込まれた大臣。なんとこの大臣の出身が新十津川町だというではないですか。おそらく同町の輩出した誇るべき政治家だったのだろうと思うと町民の落胆も一方ならぬものがあるのではと拝察されます。
 車で通過した感覚としては石狩川沿いに長閑な田畑の広がる小さな町なのかなという感じでしたが、わずか一週間ほどの間に過去ほとんど聞いたことのない町の名にこれほど頻繁に接することに驚きを覚えた店長でした。
今週のワイン9/6〜9/12
ジャコーザ・フラテッリ バローロ2000 DOCGバローロ イタリア
 たいへん久しぶりのワインレビューとなります。やはり夏はビールとなりがちな店長ではあります。バローロを一度経験したいというリクエストによりなかなか手の出ない銘酒に挑戦です。ネッビオーロは半端なものは外すという店長独自の経験則に則り、ちょっとゼイタクしてみました。
 11年のときを経て少しエッジに茶のかかる色調は小樽で熟成したのあろうことをうかがわせるしっかりさ。もわっとした干しぶどうと納屋のわらの香りの奥から鼻腔に抜ける紫の果実は巨峰の味わいに。中域に感じる独特のさらっとした舌触りとそのあとズシッと喉越し時に押し寄せる細かなタンニンと辛口の後味はこの品種の特徴をよく備えていると思われます。香りも長い時間ヘタることなく少し干しぶどうがかった紫の果実香を放ち続け、トーンの高い酸の効いた味わいも持続します。なかなかに風格を感じさせるいいワイン、タンニンの強さが「どうだ!」と訴えかけてくるようで、これがファンにはたまらないのかもしれませんが、店長にはそんなに押してこなくてもというところではあります。ネッビオーロのお手本。旨かった。
9月5日
 エネルギー問題が取沙汰されて久しいですが、メタンハイドレートと呼ばれるガスについての記事が出ていました。
 メタンハイドレートとは「燃える氷」とも呼ばれ、海底の地中でメタンの分子が水の分子に囲まれてシャーベット状になった物質とのことで、日本近海のメタンハイドレートの埋蔵量は日本の天然ガス消費量の100年分にもなるという。石油や石炭に比べ二酸化炭素の発生が少なく窒素化合物や硫黄酸化物の面でも環境にやさしい。10年ほど前から産学官で進められてきた研究によってようやく採掘技術や濃集帯の発見技術などが確立しつつあり2018年ごろの商業化を目指すという。
 脱原発は理想かもしれませんが現在のエネルギー事情を鑑みたときにすぐに移行することが困難なのは明白でもあり、代替エネルギーとして太陽光や風力が取沙汰され、再生可能エネルギー固定価格買取法が成立したばかりではありますが、それらのエネルギー源で日本の需要をカバーするには不足しているでしょうしまた設備の普及にも相当の時間がかかるものと思われます。メタンハイドレートもすぐに商業化するわけではありませんが、自国に眠る資源として活用できれば心強いものがありますし、どうやらこの分野では日本は最先端を走っているようです。であるならばその技術力で圧倒的優位を築き、その技術を海外に輸出できれば貴重な外貨獲得源になると思います。
 アメリカやカナダではこれまで取り出せなかったシェールガスを取り出す技術が確立し、それを戦略的に活用する動きも出てくると思われます。世界をリードしている今こそメタンハイドレートに注力してみる価値があるのではと思わせる記事でした。
8月29日
 先日の新聞にアマゾン川の地下約4キロにもう一つのさらに大きな地下水脈が流れていることがわかったと報道していました。
 地下水脈は全長6000キロ、幅200〜400キロでアマゾン川河口付近の倍以上。研究グループは研究者の名からこの地下水脈を「ハムザ川」と命名。ペルー、ボリビア国境からアマゾン川河口に向けて北東方向に流れている。土砂まじりのため流れは遅く最大秒速2メートルのアマゾン川に比べこの「ハムザ川」は一年で10〜100メートルしか進まない。云々。
 なんでも70〜80年代に石油の採掘調査をした241ヶ所の深井戸の温度データなどを分析して突き止めたらしいですが、この記事を読んでとっても素朴な疑問が浮かびました。「ハムザ川」は最終的にどこに流れ込む、あるいは途切れるのでしょうか。もちろん研究グループもそこまではわからないのでしょうが、「流れる」ということは勾配があると考えられ、循環するという可能性は低くなる気がします。もし海に流れ込むとすれば、水深4000メートル付近でなければならす、またかなり強い圧力で流れ込まないと水圧で逆流しそうです。途切れるとするとその水分はどこへ行くのでしょうか。なかなか謎の多い記事でした。
8月22日
 この夏休みに、東日本大震災による被災児童への短期受け入れツアーが各地域で行われているようですが、店長も福島県からの被災児童のみなさまへのお手伝いをさせていただくことができました。児童のみなさまから直接お話を伺う機会には恵まれませんでしたが、企画終了後いただいた主催者さまからの報によると「外で思い切り遊べない」「食物にもいちいち気を遣わなければならない」ことから開放された数日はやはり楽しい機会となったとのことで、現在はいまだ収束の見通しのたたない放射能汚染のある「ふだんの暮らし」に戻っているとのことでした。
 すこし訛りのある言葉ではっきり丁寧に問いかけてくれた小学校低学年の子供の活き活きとした表情は、なにか永らく忘れていたものを思い出させてくれたような気がした店長でした。一日も早い放射能汚染のない「ふだんの暮らし」を手に入れてほしいと願わずにはいられない出来事となりました。
8月15日
 先日数年ぶりに打上花火を見る機会がありました。多くの花火大会が東日本大震災による犠牲者の慰霊を掲げて開催されていると思うのですが、その会もしかりで、あらためてこのお盆の時期近くに開催されることの多い花火大会の本来の趣旨というものを認識させられることとなりました。
 ドンという空気の振動をともなって体感される響きは懐かしく、花火職人が長い時間と手間をかけて作ったものであろうことが、様々に意匠を凝らした花火の美しさから伝わってきますが、その多大な労力の産物がわずかに数秒でぱっと大輪の花を咲かせ散っていくのを見て、そんなことを意識するようになったことがなんとなく以前とは違った感慨を味わわせてくれたような気がします。
 その大きな音でもって天国にいるであろう霊魂によびかけ、この美しさを見てもらおうとした原点のようなものが感じられた機会となりました。が同様の趣旨で執り行われようとした京都五山の送り火が迷走したのは残念でした。
8月8日
 本好きのお客様が敬愛されている森銑三という書誌学者で随筆家のお名前を聞いており、探すともなく注意していたのですが、たまたま古本屋さんで目に付いたので読んでいます。題は「書物」。
 「書物」という名の書物を拵えるのがなにやら愉快そうで云々、というはしがきで始まるその本は著書の書物にまつわる蘊蓄を傾けた随筆集で、柴田宵曲という著者との二部構成でなっています。さまざまな題目で綴られた内容により著者の書物への愛情、とりわけ古書への愛着などが浮き彫りになってゆくのですが、ふたつばかりご紹介すると (原本通りだと長くなるのでかいつまんで)
 「書目」:古本屋の目録は要所を押さえたものが理想であるが、それには店主の目利きが高度に要求される。しかし古書店主もまた商人、あまりに商売ずれするのもいかがなものか、どの書物にもなんらかの異色のあるところを言い立てやたらに価格を上げたりするのはかなわない。とるにも足らない書物に絶版だの、重版もしない書物に初版などとしたり、西洋風の肉筆画なら「江漢か」とし肖像画なら「崋山か」などとする。やはり古本屋は分かったり分からなかったりして安い掘り出し物のころがっていたりするほうが愛嬌があっていいかもしれない。という内容を読んで店長:ワイン屋さんもまた然り。褒め言葉、「某ワイン誌絶賛」「人気ワイン漫画に登場」「PP92点」「神様の弟子」「金賞受賞」「世紀の当たり年」などいくらでも出てきますな、いや我ながら。
 「誤植」:どうやら書物に誤植はつきもののようで、避けられないもののようである。「明治天皇御製集」は十四校までも校正を繰り返したのにもかかわらず、索引にまだ誤植があった。高橋健三氏は印刷局長まで勤めた方で、フランス語の辞書を出すのに特に綿密な校正をして、大いに自信をもって製本したところが、扉の限られた文字を誤植していた。佐伯こう渓翁などは校正には格別の関心をもたれており、著者の書いた本を贈ったりすると正誤表を送って返された。その佐伯翁に或る時これまで御関係の書物に誤植の一つもなかった本がありますかと聞いたら、翁は悄然としてないと答えられた。など。店長:この題目は他にもいろいろ失敗談らしきものが載っており、特に笑える。なかでもおもしろかったのは饗庭こう村翁が「鐘の音コーン」と原稿にして置かれたのを校正子が鐘の音だからと「ゴーン」としてしまった。翁はそれを見てすっかりしょげて、校正畏るべしといわれたという。他人の書いたものを校正するというのはことほどさように難事のようです。そういえば以前当コラムで紹介した先生のご著書についても、出来上がった本を見るとアラが目に付いてねぇという内容のことをおっしゃっていましたっけ。
 愛情のゆえにこだわりたくなるということがズシンと伝わる碩学の書でした。

8月1日
 九州電力のやらせメール問題を発端とした各電力会社での同様の不祥事が続々露呈しています。識者によると産官学の一体推進体制がこのような行過ぎともとられかねない各種要請へと発展したのではと指摘していました。
 たしかに国民を除く政府、学術・権威機関、経済団体が協同してある事業を推し進めるために国民を欺くかのような利益誘導を図ったとの指摘は的外れではないと思います。その点だけをみるとなぜか死亡者35名と決められているように感じてしまう隣国の事故のような強権的な指導体制と近似したものを感じ、われわれ国民は「あの国はね〜」などと言っている場合ではないように思います。
 しかし、十数年前までは世界一だと誇っていた太陽光発電パネル事業における日本の事業者の世界での位置づけはいまどうなっているでしょうか。各国で進められようとしている新幹線事業に対する「トラブルによる死亡事故ゼロ」を誇る日本の競争力はどうでしょうか。「ガラパゴス的」などと揶揄される日本の携帯電話事業の世界での競争力はどうでしょうか。枚挙にいとまがないほどの世界市場での日本企業の競争力の低下はひとり各企業の経営努力不足だと結論づけてしまえるほど我々は努力していないでしょうか。店長はそうは思いたくはありません。
 その競争力不足の原因のひとつに産官学の連携による「『日本』の輸出」に対する努力不足があるのではと考えます。今回の電力会社の不祥事によって過度に産官学連携への不信感をあおる結果とならないように望みます。

Cafe+Dining Bar び〜あん
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